掲載日:2024年5月2日
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平成24年度 戦前から戦後の衣生活
衣料消費の統制が行われた戦時下では、衣料切符と交換して現物の配給を受ける必要がありました。また、国民服令によって男性は標準服として「国民服」の着用が奨励され、のちに女性の標準服も制定されました。このように、戦時下における人々の服装は戦争の影響を受け、さまざまな制限を受けました。
本企画展では、戦時下における服装がどのようなものであったのか、戦前から戦後まで時系列に沿ってご紹介します。
テーマ1:戦前の服装
写真1は戦前の日本橋を歩く人々の服装です。
大正末から昭和初期にかけて洋風化が進み女性の洋装も徐々に増えていきましたが、大半の女性は和服中心の生活でした。洋服は、学校の先生など職業婦人と呼ばれた働く女性たちや、一部の上流階級の女性が着ていました。
写真1 撮影日:昭和8年3月 戦前の日本橋 撮影:石川 光陽
テーマ2:戦中の服装
写真2から写真5は人々が国民服や婦人標準服であるもんぺなどを着ている写真です。
戦時下になると、衣服材料が著しく逼迫しました。いわゆる、「贅沢は敵だ」という時代になり、衣生活は苦しく既存のものを再生する更生服が奨励されるようになりました。
昭和15年(1940)には、国民服令が制定され、男性の標準服としてカーキ色の布地でつくられた国民服の着用が奨励されました。さらに、昭和17年(1942)には女性の標準服(洋服式・和服式・防空着)も制定されました。
写真2 昭和15年に制定された国民服 提供:共同通信社
写真3 撮影日:昭和16年12月19日 昭和16年12月19日に発表された決戦下の婦人標準服 提供:共同通信社
写真4 竜淵寺学寮(京華国民学校)の職員さんたち 提供:河合 徳司
写真5 隣組の記念写真 提供:桂田 一郎
テーマ3:衣料切符(戦中の服装)
昭和17年(1942)、軍に物資をより多くまわすため、衣料切符(写真6)と交換して現物の配給をうける衣料点数切符制が実施されました。戦争が激化すると衣料切符の点数が減らされた上、現物はほとんど配給されないという状況になりました。戦後も生産の回復する昭和25年ごろまで、この制度が続きました。
写真8は衣料切符を使い買い物をしている女性たちを撮ったものです。
写真6 衣料切符 中央区所蔵
写真7 衣料切符点数表 中央区所蔵
写真8 撮影日:昭和17年2月1日 昭和17年2月衣料切符で買い物をする女性たち/日本橋三越 提供:共同通信社
テーマ4:物品資料(戦中の服装)
「もんぺ(写真9)」は消火・避難などにおいて、素早く動けるよう奨励された防空着で、足首をしぼったズボンのような服です。当初はほとんど普及しませんでしたが、本土空襲が開始されてからは、女性のほとんどが日常着として常用するようになりました。また、男性の標準服とされた「国民服(写真11)」などは、国防色(カーキ色)の布地で作られました。
写真9 もんぺ 郷土資料館所蔵
写真10 防空頭巾 昭和館所蔵
写真11 国民服(乙号) 郷土資料館所蔵
写真12 コート 郷土資料館所蔵
写真13 ゲートル 郷土資料館所蔵
写真14 図嚢 郷土資料館所蔵
テーマ5:戦後の服装
写真15と写真16は、終戦後の銀座を歩く人々の服装です。
戦後は米国文化の大きな影響を受け洋装が一般的となっていきます。
多くの一般国民は戦後まもなくは国民服やもんぺ姿のままでしたが、日本中に洋裁ブームがおこり洋裁学校やファッションブックが普及すると、衣生活は急速に洋装化していきました。
さらに、衣料素材の面でも化学繊維が開発されるとともに、繊維製品の大量生産や縫製過程の機械化により、多種多様な服が作られるようになりました。
写真15 撮影日:昭和22年3月 終戦直後の露店 ─銀座通り─ 京橋図書館所蔵
写真16 撮影日:昭和32年 銀座四丁目交差点 京橋図書館所蔵
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