三井本館(みついほんかん)

掲載日:2023年7月20日

ページID:4240

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三井本館の画像
三井本館

種別

国指定重要文化財(建造物)

所在地

日本橋室町二丁目1番1号

広報紙コラム「区内の文化財」より(令和2年12月1日号)

日本橋室町にある三井記念美術館は、越後屋呉服店を源流とする旧財閥三井家伝来のコレクションを中心に、国内外を問わず優れた美術作品類を展示しています。特別展の観覧・鑑賞などで当美術館に訪れることはあっても、重要文化財「三井本館」の7階に位置していることには気付かないかもしれません。日本橋三井タワーの南に立つ三井本館は、関東大震災で被災した旧本館(明治35年〈1902〉竣工)を一新するかたちで昭和4年(1929)に再建した、重厚かつ華麗な意匠を持つ建物となっています。東・西・南の3方が道路(それぞれ中央通り・日銀通り・江戸桜通り)に面した当該建物は、越後屋呉服店や三井両替店などの店を張ってきた縁ある場所に立地しています。
東西に長い矩形(くけい)の建物は、鉄骨鉄筋コンクリート造(地上5階〈1階に中2階が連続するため実質7階〉・地下2階)の構造で、当初から三井財閥を形成する複数の企業本社(三井合名会社・三井銀行・三井信託・三井物産・三井鉱山など)が入居して業務を行う計画があり、地下1階にはアメリカ・モスラー社製造の大金庫(直径2.5m・厚さ55cm・重量50t)を擁するなど、オフィスビルの拠点的な機能を有していました。工事に当たっては、ニューヨークに拠点を置く設計監理(トローブリッジ・アンド・リヴィングストン事務所)および施工(ジェームズ・スチュワート社)会社へ発注しており、アメリカにおける最先端の設計・施工技術を用いて建造されています。
花崗岩(かこうがん)で仕上げた重厚な外部は、通りに面する三面に壮麗なコリント式の大オーダーを立ち並べており、よく見るとフルーティング(垂直方向に刻まれた柱身の溝)を施した円柱を挟むようにして両脇に角柱2本を配しています。柱頭上部には、列柱が支える水平梁(エンタブレチュア)のように見せたコーニスを廻(まわ)し、上階の3壁面(東・西・南)には三井各社が展開する多様な事業・業種や精神性を意味するレリーフ(各面に4つ、合計12種類)なども施されています。
また、吹き抜けの大空間が特徴的な1階内部には、床・柱各部に大理石が用いられており、立ち並ぶドリス式の巨大な円柱とともに、天井・梁などに華麗な装飾が見られます。なお、こうした内外部の特徴は、三井合名会社理事長(團琢磨)が掲げた壮麗(Grandeur)、品位(Dignity)、簡素(Simplicity)の3要素を具現化したものであるといわれています。
中央区総括文化財調査指導員
増山一成

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教育委員会事務局図書文化財課郷土資料館

〒104-0041 新富一丁目13番14号

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ファクス:03-3551-2712

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