掲載日:2023年1月18日
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「猛火の中を逃げまどって」 高橋 富男
テキスト
空襲の恐怖
B29が一機一機、火の玉のように旋回していました。
それが大体10機ごとに次々と来て、時計だって見られるくらいの明るさでした。
この辺りは落ちませんでしたが、人から聞いた話では、世田谷の方へ行って落としたという事を聞きました。
今度は10機見たと言ってるうちに焼夷弾がパラパラと落ちて、裏手から火が上がりました。ご承知だとは思いますが、焼夷弾というのは六角形や八角形があって、それが次から次へと落ちて来ました。
それから、六角形の焼夷弾が私の家の角の前に落ちてきたきたこともありました。
ドスーンと音がして、私の家の裏に落ちました。
今は路地がありませんが、路地の向こう側に植木があって、親父が向こうに渡って鉢から土を取って焼夷弾にかけていました。
焼夷弾は、固まって落ちてくる場合もありますから、そういうことろは怖かったです。
定時に来る偵察機
お昼になると偵察機が来て、爆弾を落としてました。深川の辺りがガシャガシャガシャとか、ガラガラガラとかという音がして、ドーンっと音がすると、大体黒い煙がポーンとあがりました。「そんなには遠くないよ」と言って、永代橋の少し先の嵯峨町辺りに落ちたとか、浅草の方落ちたとか、毎日のようにお昼頃というと偵察機が来ました。
空襲警報が鳴らないで警戒警報中に来た事ありました。
ですから、いつ爆弾が飛んでくるのか分からないという恐怖感がありました。
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