掲載日:2025年4月4日

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令和7年第一回中央区議会定例会 区長所信表明

本日、ここに令和7年第一回中央区議会定例会の開会に当たり、私の所信の一端を申し述べ、区議会ならびに区民皆さま方のご理解とご協力をお願い申し上げます。

所信表明に先立ち、昨年10月5日、永眠されました矢田美英前中央区長に対し、謹んで哀悼の意を表します。矢田様は、昭和62年4月、中央区長に就任されて以来、実に8期32年にわたり、区政を担われました。「人集まらずして繁栄なし」を合言葉に、住環境の整備などを通じて、定住人口の回復と快適な都心居住のまちづくりに尽力されました。

「輝く未来へ橋をかける    人が集まる粋なまち」、基本構想に掲げられた将来像とその理念を区行政でしっかりと受け止め、基本計画2023に示した10年後の中央区の姿を実現するため、これまでの施策をさらに発展させてまいります。

本区の定住人口は、都市機能と景観が融合した都市基盤づくりや区民福祉の向上に向けた総合的な取組が実を結び、引き続き力強いペースで増加しています。晴海フラッグへの入居開始を背景に、この1年間で人口は1万569人増え、本年1月には18万7,404人と過去最大を記録しました。全国的に少子化が進む中、本区は年間2千人規模の出生数を維持し、合計特殊出生率は7年連続で23区トップとなっています。このことは、本区が子育て世代にとって魅力的なまちであることを示すものと考えております。一方で、定住人口の増加に伴い、教育環境の整備や子育て支援の充実、多様な世代が交流できる機会の創出など、さまざまな課題も生じているところです。20万都市に向け、こうした課題に積極的に取り組み、江戸開府以来の長い伝統と歴史を背景に、全ての区民の皆さまがまちに愛着を持ち、住み続けたいと思える中央区を目指してまいります。

さて、昨年元日に発生した能登半島地震から1年余りが経過しました。9月に発生した集中豪雨による影響も加わり、いまだ復興は道半ばであり、引き続き全国的な支援が必要な状況にあります。本区もその共助の一員として支援を継続してゆく所存です。本年は阪神・淡路大震災から30年を迎えました。都市部における直下型地震がもたらした被害は大きな衝撃を与えるとともに、この30年の間に日本各地で発生した、東日本大震災を含む大地震は、さまざまな教訓をもたらしました。本区においても、日頃からの備えが重要であるとの認識から、継続的な防災訓練の実施による区民の意識の向上や防災インフラの整備・強化など、災害への対策を拡充してまいりました。いつ、どこで、発生するかわからない大地震は、私たちの生活を一瞬にして奪い、地域社会に大きな傷痕を残します。地震発生を未然に防ぐことはできませんが、一人一人が地震に備えて行動することはできます。防災対策に終わりはありません。今後もさらに対策を充実させ、地域防災力の一層の強化や防災意識のさらなる向上を図るための取り組みを着実に進めてまいります。

また、令和7年は戦後80年の節目となります。日本が平和な国として発展できたのは、多くの先人と国民一人一人の努力があったからこそであります。一方で世界に目を向けると、ロシアのウクライナ侵攻はいまだ収束が見通せず、そのさなかに始まったパレスチナ・ガザ地区での紛争はようやく停戦合意が結ばれたものの、和平の実現には引き続き多大な努力が必要です。この80年の間にも世界各地では大小さまざまな紛争が絶えず、今、国際秩序が大きく揺らいでいます。しかしながら、このような危機的な状況だからこそ、平和を希求する思いが世界中に広がっていることも見逃してはなりません。わが国の日本原水爆被害者団体協議会が2024年のノーベル平和賞を受賞したことは、その表れでありましょう。戦後80年という節目を迎え、改めて「中央区平和都市宣言」の理念を胸に刻み、恒久平和の実現を願い、各種施策に取り組んでまいります。

そして、新型コロナウイルス感染症の流行を経て、私たちの生活環境は大きな変化の途上にあります。エネルギー価格の高騰を背景とした物価上昇は、企業の経済活動に影響を及ぼすだけでなく、食料品や日用品の価格を押し上げ、家計に深刻な負担をもたらしています。こうした状況を踏まえ、区民の皆さまの不安を解消するため、物価対策にしっかりと取り組んでまいります。

昨今の円安等の影響により、外国人観光客が増加し、地域経済の活性化に寄与している一方、インバウンド需要に対応するためのインフラ整備やごみ問題などが課題となっています。さらに、本年は「世界陸上」や「デフリンピック」などの国際大会が都内で開催される予定であり、多くの外国人観光客が本区を訪れることが見込まれます。このため、地域と連携しながら区民の生活環境との両立・調和を図り、適切な対策を講じる必要があります。

また、外国人住民の方々も増加傾向にあり、多文化共生のまちづくりを推進することも重要です。区民の皆さまが安全・安心で豊かに暮らし続けられるよう、地域経済の持続的な発展、生活の質の向上、そしてまちのにぎわいの創出に向け、総合的な視点で取り組んでいかねばなりません。

令和7年度当初予算

これらの状況を踏まえた新年度予算は、「中央区の魅力を発掘・発信! -愛着をもって住み続けられるまちを目指して-」と題し、物価高騰など喫緊の課題に加え、中長期的な課題への対応についても重点を置き編成いたしました。

歳入面においては、人口増加や経済の回復基調を背景に、区財政の根幹である特別区税や特別区交付金などに一定の伸びが見込まれるものの、ふるさと納税による税の流出が引き続き拡大しているほか、物価高騰の長期化による企業収益の圧迫など景気の下振れリスクもあり、財政環境は今後も予断を許さない状況といえます。

そのため予算編成に当たっては、施策全般にわたり取捨選択を行うとともに、これまで蓄えてきた基金の活用や将来負担を見据えつつ特別区債を新たに発行するなどの財源対策を講じたところであります。

新年度予算では「区の魅力を発掘・発信」する施策をはじめ、「防災対策」、「子育て・教育環境の充実」、「良好な都市基盤の整備」など各施策の強化を図った結果、新規35事業、充実40事業を含む一般会計予算は、前年度を21.9パーセント上回り、当初予算として過去最大となる1,627億1,900万円余を計上いたしました。

主な施策について、基本構想に掲げる三つの「施策のみちすじ」に沿って申し上げます。

一人一人の生き方が大切にされた安心できるまち

第一は「一人一人の生き方が大切にされた安心できるまちを目指して」であります。

はじめに、子育て支援策についてです。

若い世代を中心に人口が増加を続ける中、子どもや若者、子育て家庭が抱える悩みや課題も複雑化・多様化しております。来月、新たに策定する「中央区こども計画」を着実に実行し、安心して子どもを産み、育てられる環境づくりと、若い世代が将来に希望を持てる施策を総合的に展開してまいります。

長年の取組の結果、3年連続で保育所待機児童ゼロを達成していますが、今後も、希望する全ての子どもが安心して保育を受けられるよう、私立認可保育所の開設を積極的に支援するなど保育ニーズに適切に対応してまいります。また、学童クラブの待機児童解消に向け、本年4月、新たに三つの小学校内で「プレディプラス」を設置するとともに民間学童クラブを日本橋人形町で開設し、定員を拡大します。さらに、令和8年度に向けても民間学童クラブを誘致するほか、子どもの居場所「プレディ」の開設準備を進めるなど、放課後等に子どもたちが安心して過ごせる居場所の確保に引き続き尽力いたします。

子育て世帯への経済的支援としては、長期化する物価高騰の影響を踏まえ、「出産支援祝品」や「バースデーサポート」の支給額を引き上げるなど、日常生活における負担軽減を図ってまいります。

こうしたさまざまな取組を踏まえ、これまでの子育て施策を総合的に捉えながら、子どもたちが夢と希望を持って成長できる環境づくりや子育て支援のさらなる充実を迅速かつ効果的に展開するため、福祉保健部内に新たに「子ども施策推進室」を設置し、専門性と機動性を備えた執行体制を構築します。

次に、高齢者施策についてであります。

高齢者が心身ともに健康で、住み慣れた地域で自立した生活を送ることができるよう、生きがいづくりや健康増進の支援を強化します。加齢による聴力機能の低下は認知症を引き起こすリスクを高める可能性があることから、補聴器の購入費用の助成額を引き上げ、再交付申請を可能とするなど、補聴器の継続装用を促進し、日常生活でのコミュニケーションや社会参加の機会確保を推進してまいります。また、認知症は早期診断・早期対応が非常に重要であるため、新たに「もの忘れ予防検診」を実施し、認知機能低下の疑いがある方を必要な医療・介護サービス等につなげるとともに、認知症月間をはじめとするさまざまな機会を捉えて、区民の認知症に関する正しい理解を一層深めてまいります。

次に、障害者施策についてであります。

障害のある方々が自分らしく安心して暮らせるよう、生活の質の向上を支援します。一人での外出が困難な障害者等の社会参加を促進するため、移動支援に携わる方の処遇改善加算の拡充や養成研修費用の助成を新たに実施します。また、障害児のサービス利用にかかる計画作成およびモニタリングを行った事業所への補助制度を創設します。本制度により、セルフプラン率の低減を目指すとともに、障害児相談支援事業所の安定運営と新規開設を促進し、相談しやすい環境を整備してまいります。さらに、歩行困難な在宅の障害者の日常生活における経済的負担の軽減を図るため、「障害者タクシー利用券・自動車燃料費助成」の支給額を増額します。

区民の健康づくりでは、健康アプリによるポイント事業の対象に、健康に関する講座や健診も追加するなど、区民の健康意識のさらなる向上に取り組んでまいります。また、感染の予防や重症化の防止を図るため、新たに帯状疱疹ワクチンの定期予防接種事業、男性へのHPVワクチン任意予防接種費用の助成事業を実施します。さらに、増加する来街者等による路上喫煙の防止に向けては、指定喫煙場所の整備を推進するとともに、巡回パトロールの体制を増強し、対策の充実を図ってまいります。

区民の皆さまの暮らしの中で生じる福祉に関するさまざまな相談に対応できる支援体制も強化してまいります。昨年4月、本庁舎に開設した「ふくしの総合相談窓口」を新たに月島地域に開設します。また、母子保健分野と児童福祉分野の一体的・包括的な相談支援体制として「こども家庭センター」機能を整備し、妊娠期から子育て期にわたり切れ目なく支援できる体制の充実を図ります。さらに、DV被害者に対する支援体制を強化するため、安心して相談できる窓口として、「配偶者暴力相談支援センター」の機能を整備します。

快適で安全な生活を送るための都市環境が整備されたまち

第二は「快適で安全な生活を送るための都市環境が整備されたまちを目指して」であります。

はじめに、災害に強いまちづくりについてです。

いつ起こるかわからない大規模災害に備え、区民の安全・安心の確保を最優先に、あらゆる対策を講じてまいります。昨年修正した中央区地域防災計画などとの整合性を図りつつ、区の非常時優先業務の継続と区政の早期復旧を目的とする「業務継続計画」等の見直しを行うとともに、充実・増強した備蓄物資の管理業務を効率的に行うため、専門事業者のノウハウを活用するなど、災害時の物資調達体制を強化します。また、地域防災力の一層の向上に向け「防災士」の資格取得を支援し、自主防災組織においてリーダーシップを発揮できる人材の育成を推進するとともに、マンション防災の体制づくりに向けた包括支援を新たに実施するなど、マンション個々の取組状況に合わせた支援に取り組んでまいります。さらに、外国人観光客等の来街者が災害発生時に円滑かつ適切に避難行動が取れるよう、外国人観光客が多数訪れている繁華街をモデルに帰宅困難者対策の検討会を設置し、地域団体と協議・検討を進めるほか、災害発生時の情報の収集・伝達体制の強化を図るため、新たに「総合防災システム」を導入します。

次に、環境負荷低減に向けた取組についてであります。

脱炭素社会の実現と持続可能なまちづくりに向け、環境施策を積極的に推進し、一層強化してまいります。

昨年1月に締結した福島県大熊町との連携協定に基づき、大熊町で生産された再生可能エネルギー電力を区施設で利用し、ゼロカーボンシティの実現と相互の地域課題の解決に取り組みます。また、将来を担う若い世代で構成される「チーム・カーボン・ゼロ」の第2期目を組織し、脱炭素社会の実現に向けた実践的な活動を通して、その輪を広げてまいります。さらに、インバウンド需要の増加に伴うまちの美化対策を支援するため、商店街等が行う地域における美化活動などへの取組に対する補助制度を創設します。

水とみどりあふれる豊かなまちづくりについては、公園の魅力向上と効率的な維持管理体制の構築を目指し、公募設置管理制度(Park-PFI)を活用して、桜川公園の再整備に取り組んでまいります。また、築地川アメニティ整備構想や東京高速道路(KK線)等との連携による緑のプロムナード構想を推進し、多様化するみどり・公園のニーズに応じた新たな緑化空間を創出します。さらに、都内随一の豊かな水辺空間を有する本区として、隅田川や日本橋川、朝潮運河を活用した水上交通の活性化について、引き続き検討の深度化を進めてまいります。

次に、都心にふさわしい魅力ある都市基盤づくりについてであります。

本区の将来を担う都市基盤整備に関する取組が着実に進んでおります。

築地市場跡地開発では、今後、東京都と事業予定者が基本協定を締結する予定となっています。日本の近代化の過程において世界に開かれた窓口であった築地の歴史と文化を未来へつなぐため、地域の皆さまのご意見を十分に聞きながら、跡地開発に関する区からの要望事項について、事業者との早期の合意形成を目指し、協議・調整を加速してまいります。また、築地・東銀座エリアでは、築地市場跡地開発をはじめ、都市高速道路晴海線の延伸など、複数の都市基盤整備が進められていきます。これらの複数のプロジェクトが進行する中で、跡地開発と場外市場、周辺地域が一体となった魅力あるまちづくりを展開していくため、引き続き関係機関や事業者等と緊密に連携してまいります。

日本橋川沿いエリアでは、五地区の市街地再開発事業や首都高速道路日本橋区間地下化事業などが進行しています。これらの事業は長期にわたることから、工事期間中も日本橋のにぎわいを維持することが必要です。そのため、地元の方々や関係機関等を交えた連絡会を設置し、事業完了後を見据えた川沿いの歩行者ネットワークなどの将来イメージを共有しながら、地域の魅力向上に努め、にぎわいの創出を図ってまいります。

晴海においては、晴海フラッグの第2期竣工を控え、まちづくりは現在も進行中で、さまざまな課題が残されています。当面の重要課題は交通であり、都バスの増便やBRTの東京駅ルートの新設などを関係機関に強く働きかけ、早期の実現を図ります。今後も教育施設や生活関連施設等の充実に努め、調和のとれた暮らしやすい晴海を目指して総合的なまちづくりを進めてまいります。

都心・臨海地下鉄新線については、昨年12月、つくばエクスプレス沿線の自治体と本区により「つくばエクスプレスと都心部・臨海地域地下鉄の接続事業化促進期成同盟会」を設立するなど着実に前進しています。これを機に、両路線の接続事業化検討を加速させ、都心・臨海地下鉄新線の早期実現に向けた取組を強化してまいります。

能登半島地震での木造家屋の倒壊や延焼火災を教訓に、新たなまちづくりの手法を導入し、密集街区における地域の環境改善に取り組みます。防災上の課題を抱える地域において、再建築が困難な無接道敷地のうち、利用されていない土地を区が買い取り、無電柱化や防災倉庫・消火器の設置場所として活用を検討するなど、災害時の危険を最小に抑え、安全・安心な市街地形成に取り組んでまいります。この新たなまちづくり事業に必要な資金を積み立てるため、「中央区密集街区環境改善まちづくり基金」を創設します。

身近な交通手段として自転車利用のニーズが高まる中、歩行者、自転車、自動車がともに安全・安心・快適に通行できる交通環境の実現を目指し、「自転車活用推進計画」に基づき、自転車ネットワーク路線の整備を進めます。また、開発事業等によって新たに整備される民間施設などにおいて、施設利用者と公共用の駐輪場の設置促進を図るため、その指針となるガイドラインの調査・検討を行ってまいります。さらに、区が管理する駐車場および駐輪場の計画的な改修・更新を行い、施設の長寿命化、将来コストの低減や平準化を図るため、「駐車場駐輪場長寿命化計画」を改定します。

輝く個性とにぎわいが躍動を生み出すまち

第三は「輝く個性とにぎわいが躍動を生み出すまちを目指して」であります。

経済活動の再開が進みつつある一方で、長引く円安や物価高騰が地域経済を支える多くの中小企業等の経営を圧迫し、人手不足の問題も深刻化するなど、地域経済は依然として厳しい状況にあります。「商工業のまち中央区」の発展を支える中小企業に対し、経営の安定や企業活動を支援するため、融資制度の限度額の増額や事業承継に係る融資制度を新たに創設します。また、中小企業の事業活性化を促進するため、ホームページ作成費補助の限度額を増額します。さらに、プレミアム率25パーセントの区内共通買物・食事券を発行総額26億円から30億円に増額して6月に発行するなど、地域経済の活性化を図ります。

健康志向の高まりとともに、スポーツを楽しむ人が増えています。誰もが身近な場所でスポーツに親しみ、楽しむことができる機会を享受できるよう、「スポーツ推進ビジョン」の改定に向けた基礎調査を実施します。また、東京2020大会やパリ2024大会を契機にスポーツへの関心が深まる中、区民のスポーツ活動のさらなる推進に向けて、都内随一の豊かな水辺空間を活用した、水上スポーツ関連施設を整備いたします。さらに、子どもたちがのびのびと安全・安心に遊べる場を確保するため、入船橋先のカルバートなどの有効活用に向け、検討を進めてまいります。

本区では、子育て世代を中心に新たな住民が増え続けています。このような状況の中、地域コミュニティの活性化に向けた取組を充実・強化することは大変重要です。大江戸まつり盆おどり大会や子どもフェスティバル、まるごとミュージアムなど既存のイベントはもとより、新たに始まった晴海まつりの充実も図ります。また、住民参加による防災訓練を、町会・自治会や各関係団体等と連携して開催することで、多様な世代が交流できる場を創出し、ひいては地域の共助の強化につなげてまいります。こうした取組の継続に加え、東京湾大華火祭の再開に向けた調査をさらに深め、実現に向けた検討についても加速させてまいります。

平和事業の推進では、戦後80年を迎え、戦争の悲惨さや平和の尊さを次世代に伝え、平和について深く考える機会とし「終戦」と「平和」に対する意識を一層高めるため、これまで3月に実施していた平和展を終戦記念日に併せて8月に開催します。

次に教育についてであります。

子どもたちが夢と希望を持ち、その実現に向けて学び、努力し続ける姿勢や態度を育成できるよう、教育の質の向上はもとより、予測困難な時代を生きる力を育む教育を推進してまいります。

学校教育では、GIGAスクール構想第2期に向けて学習用タブレット端末を着実に更新することで、個別最適な学びや協働的な学びを一層推進し、確かな学力を定着させるとともに、子どもたちが情報を適切に取り扱えるよう、デジタルシチズンシップ教育を充実します。また「学校図書館支援センター」を設置し、学校図書館に司書が常駐する体制を整備することに加え開館時間を延長することで、子どもが本に触れる機会を増やし、読書の楽しさを感じられる環境を整えるとともに、これまで以上に学習における学校図書館の活用が図られるよう取り組んでまいります。さらに、喫緊の課題である教員の働き方改革を推進し、児童へのきめ細かな指導を行えるよう、小学校低学年の副担任業務を担うエデュケーション・アシスタントを全校に配置してまいります。

学校施設整備では、晴海地区における児童生徒数の急増に対処するため、晴海西小学校第二校舎の設計業務を進めるほか、日本橋地域においては浜町公園内に整備中の日本橋中学校浜町校舎を竣工させるなど、良好な義務教育環境の確保に取り組んでまいります。今後も、児童生徒数のさらなる増加を見据えた義務教育施設の確保については、自治体の責務として、あらゆる手立てを講じてまいります。

幼児教育では、非認知能力の向上を目的とした「すくわくプログラム」の実施や区立幼稚園全園で預かり保育の時間を午後6時まで延長するなど、一層の教育環境の充実を図ることで、幼児教育への期待に応えてまいります。

誰もが笑顔で夢と希望を持てる社会の実現を目指して

社会経済状況が大きく変化する中で、引き続き人口増加が見込まれる本区においては、今後も複雑化・多様化してゆく区民ニーズを的確に把握し、行政サービスにつなげていかなければなりません。

行政サービスのデジタル化の推進では「区民にとって便利でやさしい区役所」を実現するため、「全手続き調査」の結果を踏まえ、導入効果の高い手続きを優先的にオンライン化し、令和7年度中に、各種手続きの実績のうち80パーセントを電子申請化することを目指し、利便性の向上を図ります。

公共施設整備では、近年の建築費、資材費の高騰などの社会状況も踏まえ、財政負担の軽減や平準化を図るため、新たに導入する公共施設マネジメントシステムを活用し、既存施設の有効活用と多目的利用を図るための施設の再編成を検討するなど、老朽化対策と施設需要への対応の両立に努めてまいります。

今後、本区の将来を形づくる都市基盤整備の取組が一層活気を帯びてまいります。特に築地市場跡地開発は、首都東京、ひいては日本の将来をけん引する大きなプロジェクトとして動き始めています。これらの取組は、国際都市としての魅力を高め、区民の暮らしを豊かにするとともに、世界中から人々を惹きつけ、さらなるまちのにぎわいを創出し、日本全体の成長に大きく貢献することが期待されます。

全国的な人口減少や少子高齢化の波の中にあっても、本区は若い世代や外国人などの転入が相次ぎ、たくさんの子どもたちが誕生するなど、20万都市を目前に控え、その勢いはますます加速し、まちは活気に満ちあふれています。

この力をわがまちの発展に活かし、本区に住み、働き、集う全ての人々が、暮らしやすく、働きやすいと実感でき、住み続けたいと思える魅力的なまちへと磨き上げていくことが重要であります。

そのためにも、区民の皆さまをつなぎ、地域をつないでゆくことが何よりも大切です。令和8年度の区制施行80周年に向け、本区の魅力を発信するシティプロモーションを全庁挙げて推進してまいります。区内の歴史文化資源のデジタルアーカイブ化や記念映像の制作をはじめ、地域の団体による歴史文化資源の発掘・発信を支援し、その主体的な活動を後押しすることで、区と区民、地域等が一体となり、まちへの誇りと愛着心が醸成されることを目指します。

いまだかつて経験したことのない新たな発展段階を見据え、環境、都市づくり、コミュニティ、経済・文化といった多様な側面から各種施策を横断的に捉え、人と水とみどりを重視したリーディングプロジェクトとして推進します。東京の中心に位置する本区が、やすらぎ・交流・にぎわいのセントラルパークとなることを目指し、都心中央区の魅力と可能性を最大限に引き出し、首都東京の柱としての役割を果たしてまいります。

誰もが笑顔で夢と希望を持てる社会の実現を目指し、たゆまぬ思いと理想を抱きながら、輝く未来へ橋を架けるため、力強く歩み続けてまいる決意であります。

重ねて区議会ならびに区民皆さま方のご理解とご協力をお願い申し上げ、所信表明といたします。

お問い合わせ先

企画部政策企画課 

〒104-8404 築地一丁目1番1号 本庁舎2階

電話:03-3546-5212

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