掲載日:2023年2月27日
ここから本文です。
中学生の「税についての作文」
次代を担う中学生が、私たちの身近な生活環境と税との関わりについて関心を持ち、税への理解を深められるよう、全国納税貯蓄組合連合会および国税庁が主催する中学生の「税についての作文」の募集が毎年行われています。令和4年度も本区の多くの中学生が応募しました。
その中から、東京国税局管内納税貯蓄組合連合会会長賞を受賞した開智日本橋学園中学校の堀部美帆さん、東京国税局管内納税貯蓄組合連合会優秀賞を受賞した日本橋中学校の松井美礼さんと佃中学校の荒幡瑚子さんの作品をご紹介します。
「租税教育の重要性」 開智日本橋学園中学校 堀部 美帆
皆さんは、税に対してどのような印象を持っていますか。税は私たちの生活を形作るうえで欠かせないものであり、私たちは日々税を納めることで、様々な恩恵を受けて暮らしています。しかし、日本には約五十種類もの税があり、またそれぞれの税は納税義務者から納税方法まで多岐にわたっています。そのため、税は難しいもの、親しみづらいものであるという印象を持ち、税への関心が薄くなってしまっている人もいるのではないでしょうか。しかし、税の意義や役割について十分に知らない状態で税を納めていると、税に対して漠然とした悪いイメージを持ってしまう可能性が高く、これは健全な納税者意識であるとは言えません。税は私たちの生活に非常に身近なものであり、私たちは税に対して当事者意識を持つ必要があります。
税を知る必要があるのは大人だけではありません。現在日本には、大人が納めることが多い所得税や住民税などの税の他に、消費税のように年齢に関わらず納税義務がある税も存在しています。ゆえに、納税が国民の義務である日本において、税についての正しい知識を身につけることはすべての人にとって重要だと言えるでしょう。
現在、税についての知識を広めるために様々な教育が行われています。租税教育は、ただ納税の義務を強調するためのものではありません。税についての教育を受け、税に関する基礎知識を身につけることで税の意義や役割について考え、さらには国の仕組みや国と国民の関係を深く考えるきっかけを与える大きな役割を持つものです。
最もよく知られている租税教育と言えば、租税教室ではないでしょうか。独立した公正な立場である税理士が学校へ出張し、税の目的や使い道について教えるというもので、近年はその効果が注目され開催数が年々増加しています。私も小学生の時に租税教室に参加した経験があり、税理士の方による分かりやすい説明は税に興味を持つ一つのきっかけとなりました。
昨今は感染症の拡大により対面で行う租税教室の開催は困難となっています。しかし、書籍やインターネット上での啓発活動、国税庁や税理士会からの情報発信など、自ら税について学ぶ方法は多数存在しています。そして今後も、本やインターネットから得られる情報はより一層増えていくと考えられます。
税は私たちが健康で文化的な生活を送るにあたって無くてはならないものであり、私たちの暮らしに密接に関係しています。コロナ禍によって学び方が個人の裁量に任せられている今、私たちは、与えられた教育の機会を最大限に活用し、また自ら能動的に税について学び、税を通して社会の在り方を主体的に考えられるようになることが必要なのではないでしょうか。
「少子高齢化と税金」 中央区立日本橋中学校 松井 美礼
近年、人生百年時代という言葉をよく聞くようになった。一方で、日本における昨年の出生数は過去最少の八十四万人を記録した。我が国の少子高齢化は留まることを知らない。厚生労働省によると、一九六五年には九・一人の労働者で高齢者一人を支える胴上げ型社会だったが、二〇五〇年には一・二人の労働者で一人の高齢者を支える肩車型社会になるそうだ。考えてみて欲しい。今、私の家では両親が働き、私たち姉妹二人の生活費を出してくれているが、労働者一人が高齢者一人を支えることになったら、我が家では子供二人分に加えて高齢者二人の生活費を出すことと変わらなくなるのではないだろうか。このような社会になった時、果たして少子化は解消されるのだろうか。私だったら、結婚して子供を持つのを諦めるかもしれない。
では、どうすれば労働者一人当たりの負担を減らすことができるのだろうか。私は二つの対策を考えた。
一つ目は、消費税率を上げることだ。私は労働者以外の高齢者や未成年者にも今まで以上の税金を納めてもらうしかないと思っている。食品などの生活必需品の消費税率を低く、それ以外の商品への消費税率を高くすれば、生活の余裕に応じて納税額が自然と調整されるはずだ。余裕のある人は購買力もあり自然と納税額が高くなり、余裕のない人は節約するので納税額が低く抑えられるからだ。また、海外からの旅行者が戻ってくれば、日本に居住していない人からの税収も期待できる。
二つ目は、高齢者の就労だ。現在、多くの会社では六十歳が定年となっているが、果たして六十歳は働けないほどの高齢者なのだろうか。私の祖母は七十二歳だが、学童で子供たちの勉強を見たり、一緒に走り回ったりしている。過疎地で人手不足であることと、教員資格があったことから勤労できたのではあるが、祖母のように元気なうちは働きたいと考えている高齢者は多いと考える。父方の祖父母はもっと高齢だが、元気で川釣りをしたり、果物を作ったり、地域ボランティアをしたりして過ごしている。それなのに六十歳が定年というのは私には理解できない。六十歳を超えてもできる仕事は色々あるのではないだろうか。高齢者が収入を得られるようになれば、税収が増えるかもしれないし、もしかしたら年金などの社会保障費を減らせるかもしれない。調べてみたところ、欧米では定年制はないようだ。年齢や能力によってできる仕事は違うかもしれないが、元気なうちはみんなで社会を支えていければと思う。
税収が減ると、教育や医療、整備された道路や安全な水などの今まで当たり前だった生活の基盤が維持できなくなってしまうだろう。今、日本が直面している少子高齢化問題は私たち中学生にとっても決して他人事ではいられない喫緊の課題だ。我が事として考え、持続可能な社会をみんなで実現していきたい。
「救われた幸せな未来」 中央区立佃中学校 荒幡 瑚子
私は小学校4年生の10歳の頃初めて救急車を呼びました。妊娠中の母が家で転んで頭をぶつけてしまい、出血していたからです。119の文字を押し、電話をかけるとすぐつながり、私の住所や母の症状などを説明して無事救急車を呼ぶことができたものの、本当に来てくれるのか心配で頭がいっぱいになりました。5分ほど経って泣きそうになっていた私の元に救急隊の方々が到着し、すぐに救急車に乗車することができました。しかし、救急車は出発しませんでした。母が妊娠中だったため、搬送する病院に限りがあったからです。ですが、救急隊の方々が搬送先の病院を必死になって探して下さっておかげで無事に搬送先の病院が決まりました。
それから5年後の今、私には5歳の妹がいて、元気な母もいます。5年前を思い出してみると救急車を利用した時に何も費用がかかっていませんでした。費用は全て税金が使われていたからです。インターネットで調べてみると、日本では救急車は行政サービスの一環であり、救急隊の人件費やガソリン代、メンテナンス代、車内に設置されている医療機器や物品の費用は全て自治体の税金が使われていることが分かりました。さらに、アメリカやカナダ、ドイツなどの多くの国は救急搬送が有料であることも知ることができました。世界を見渡してみると日本のようにいつでもどこでもどんな症状があっても誰でも運んでくれる救急車の制度はとても珍しく、ありがたいものだと思いました。無料であるからこそ、命に関わる状態のときにすぐ救急車を呼ぶ判断をすることができ、躊躇わず利用することができます。こうして救急車はこれまでに多くの命を救ってきたのだと思いました。
税金は救急車以外にも様々なところに使われています。私たちの生活が一変することのきっかけになった新型コロナウイルスのワクチンも、税金で賄われています。さて、このような税金の費用は誰が支払っているのでしょうか。それは一生懸命に働いて下さっている大人の方々です。働いて得たお金を消費税や所得税などに納税しているのです。私たち子どもは、それらの税のおかげで教育を受けることができたり、小さい頃から予防接種を受けることができています。
私は今年度で義務教育が終わり、今まで以上に税のありがたみを実感する機会が増えると思います。税金があることを当たり前だと思わずに身近にある小さな税金から大きな税金まで常に感謝の気持ちを忘れずに生活していきたいです。そして、私が納税者側に立ったときには今まで私の生活を支えてくれた税に恩返しの気持ちを込めて納税し、幸せな未来のバトンを継承したいと思います。
お問い合わせ先
総務部税務課管理係
〒104-8404 築地一丁目1番1号 本庁舎2階
電話:03-3546-5265