陶製住吉神社扁額(とうせいすみよしじんじゃへんがく)

掲載日:2023年7月18日

ページID:4339

ここから本文です。

陶製住吉神社扁額の画像
陶製住吉神社扁額

種別

区民有形文化財 工芸品

所在地

佃一丁目1番14号 住吉神社

員数

1面

年代

明治15年

登録年月日

平成2年4月1日

登録基準

〔2〕

  • ハ、題材、品質、形状又は技法等の点で特色があるもの
  • ホ、区の歴史、文化に関係の深いもの

広報紙コラム「区内の文化財」より(平成23年5月21日号掲載)

前回、このコーナーで紹介しました住吉神社の境内には、もう一つ貴重な文化財があります。住吉神社参道入り口にある石造鳥居の額束(神社名を記した額を設置する鳥居の上部中央)に掲げられている「陶製住吉神社扁額」です。
神社には、社号(~神宮・~神社など)を記した扁額が鳥居上部に掲げられていたり、あるいは寺院では、寺の山号(~山など)を記した扁額が山門や本堂に掲げられています。
住吉神社の鳥居上部にある扁額は、縦109センチメートル、横97センチメートル、厚さ5センチメートルの比較的大きな扁額です。通常、神社などでみられる扁額はその多くが木製ですが、住吉神社の扁額は陶製の非常に珍しいものです。
この扁額の細部を見ますと、額面には白地に呉須(陶器などの染付に用いる藍色顔料)で「明治十五壬午歳六月三十日住吉神社一品幟仁親王」と力強く品格のある書がみられます。また、額縁部分には雲の文様が施されており、縁の上下には住吉神社の神紋である鷺の姿も描かれているなど、非常に手の込んだ扁額といえるでしょう。
なお、この扁額に揮毫(毛筆で文字などを書くこと)した一品(親王の位階の第一位)幟仁親王(1812~1886)とは、歌学や書道をよくした有栖川宮の第八世で、明治期には神祇事務総長や神道教導総裁などの要職を歴任した人物です。
著作として残されている『幟仁親王日記』によると、明治15年(1882)3月に同親王が住吉神社の扁額に揮毫したことや、同年5月には住吉神社へ参詣していることなどが記されています。
また、同日記には「佃島住吉神官平岡 花盛額面内願、陶器而出来候趣也、承知、昨日相濟、陶器ヤ島田宗兵衛ヨリ掛軸一枚ヌメ地内願之通」などの記述もみられることから、陶器問屋の島田宗兵衛なる人物を通して同社の扁額を制作したことが読み取れます。
信仰の篤い陶器問屋が寄進した陶製の珍しい住吉神社扁額は、商業史・工芸史の点からも貴重な文化財といえます。
中央区主任文化財調査指導員
増山一成

お問い合わせ先

教育委員会事務局図書文化財課郷土資料館

〒104-0041 新富一丁目13番14号

電話:03-3551-2167

ファクス:03-3551-2712

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?

中央区を、知る about Chuo City > 中央区内の文化財 > 区民有形文化財 > 工芸品 > 陶製住吉神社扁額(とうせいすみよしじんじゃへんがく)