波除稲荷神社の獅子頭(なみよけいなりじんじゃのししがしら)

掲載日:2023年7月19日

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波除稲荷神社の獅子頭(左:雄獅子・右:雌獅子)の画像
波除稲荷神社の獅子頭(左:雄獅子・右:雌獅子)

種別

区民有形民俗文化財

所在地

築地六丁目20番37号 波除稲荷神社

員数

1対

年代

嘉永元年

登録年月日

平成4年4月1日

登録基準

〔1〕ホ、信仰に用いられるもの(祭祀具、法会具、奉納物、偶像類、呪術用具、社祠等)

広報紙コラム「区内の文化財」より(平成25年3月21日号掲載)

築地地区の氏神・波除稲荷神社は、東京都中央卸売市場築地市場入口に架かる海幸橋の袂に鎮座しています。境内に入ると、高さ2メートルを超える雄獅子の厄除天井大獅子(平成2年再興)と雌獅子のお歯黒獅子(平成14年再興)が参詣者を迎えてくれます。
波除稲荷神社の創建は、築地の埋立(万治元年に現在の築地本願寺に当たる場所を埋立)から間もない万治2年(1659)といわれ、古くから獅子頭を担いで練り歩く当社の祭礼は、初夏の築地を華やかに彩る風物詩として知られていました。
こうした様子は、天保9年(1838)に刊行された『東都歳時記』(斉藤月岑著)にも記されており、4月初午日の築地稲荷社祭礼のくだりに「執事萬徳院 なみよけ稲荷と云 築地五町の鎮守也 南小田原町より竜虎の頭を獅子頭の如くに作り きやりにて町々を渡す」とあります。かつての祭礼では、木遣りの先導のもと、氏子各町や大店ごとに所有する数十対もの獅子頭が町内を華やかに練り進んだといわれています。
しかし、大正12年(1923)の関東大震災で多くの獅子頭が焼失の憂き目に遭い、現在は唯一被災を免れた木造の獅子頭が本殿に安置されています。この獅子頭は嘉永元年(1848)に南本郷町(現在の築地六丁目)の島屋藤次郎が発起人となって製作したもので、赤熊の毛が植えられた頭頂部に宝珠を冠する雌獅子と角を持つ雄獅子の一対です。両獅子頭ともに表面は金泥塗りで、唇・鼻孔・瞼の内側には朱漆が施されています。見開いた両眼を覆うが如くに渦巻く眉毛や盛り上がった獅子鼻、歯をむき出して波打つように開いた口や周囲に渦巻く顎鬚等に特徴がみられる獅子頭です。なお、昭和2年の修理時に南小田原町一丁目(現在の築地六丁目)所有の赤熊の毛と眼球が取り付けられました。
本殿の御祭神を守護するかたちで安置されたこの獅子頭は、江戸以来の獅子祭りの伝統を今に伝える貴重な文化財となっています。
中央区主任文化財調査指導員
増山 一成

お問い合わせ先

教育委員会事務局図書文化財課郷土資料館

〒104-0041 新富一丁目13番14号

電話:03-3551-2167

ファクス:03-3551-2712

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