中央区民文化財92 八丁堀三丁目遺跡内朗惺寺跡出土蔵骨器 附 瀬戸・美濃産陶器 鳴海織部向付(はっちょうぼりさんちょうめいせきないろうせいじあとしゅつどぞうこつき つけたり せとみのさんとうき なるみおりべむこうづけ)
更新日:2016年9月1日
区民有形文化財 考古資料 所在地:築地四丁目15番1号 築地社会教育会館地下文化財倉庫
本資料は、昭和61年2月から3月にかけて実施された八丁堀三丁目19番(一次調査)及び平成13年9月から同年12月にかけて実施された八丁堀三丁目20番(二次調査)における発掘調査で日蓮宗の興栄山朗惺寺の墓域より出土しました。これらは、陶磁器・土器による蔵骨器であり、主に火葬骨を納めて埋葬されたものです。
本遺跡では、遺存度が高く、保存状態の良好な陶磁器・土器(土器は蓋1点のみ)について、一次調査では11点、二次調査では12点の合計23点を選別しました。また、本遺跡出土の蔵骨器には蓋が残っていたものも多く、蔵骨器に含めました。さらに、一次調査における墓地の下層面から出土した、ほぼ完存の瀬戸・美濃産陶器で、茶陶に用いられたと考えられる鳴海織部の向付1点を附としました。
儒教思想の影響により、火葬から土葬へと転換していく近世はじめころの埋葬方法の移行を知るうえで、火葬墓のあり方は欠くことのできない要素であり、中でもそれが端的に現れる蔵骨器は重要な資料です。御府内でも、更にその中心域である江戸城の郭内(浅草橋御門など、城門の内側の範囲)において、近世はじめころの寺墓が発掘調査された例は極めて稀少です。
なお、附の鳴海織部の向付は、当時の寺院における文化の一端を示す資料であり、中央区内ではほぼ完全な状態の資料として唯一のものです。
八丁堀三丁目遺跡内朗惺寺跡出土蔵骨器 附 瀬戸・美濃産陶器 鳴海織部向付
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