掲載日:2023年1月18日

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第4章 基本計画に盛り込むべき施策の方向

1 一人一人の生き方が大切にされた安心できるまちを目指して

1の1 すべての人々が健康で安心して暮らせるまち

1の1の1 ライフステージに応じた健康づくり

(ア) 母と子の健康の確保・増進

出生数が増加する一方、核家族化により、妊娠・出産・育児にあたり、家族などから身近な支援を得ることが難しい家庭も増えることが想定されます。また、共働き世帯の増加や就労形態の多様化がさらに進み、妊娠・出産・育児に関するニーズはますます高度化すると考えられます。
そのため、出産・育児を行うすべての保護者が孤立感や不安感を感じることなく、心身ともに健康に子育てできる環境を整えることが重要です。また、困り事があったときには、身近な場所で相談ができ、支援を必要とする家庭が適切なサポートを受けることができる環境づくりが求められます。

(イ) 若年期からの生涯を通じた健康づくり

区民の健康寿命延伸を図る上で、がん、心疾患、脳血管疾患等の生活習慣病やストレス等に起因する心の病気への取組は引き続き重要となります。
生活習慣病の発症・進行には、食生活、運動、喫煙、口腔ケア等の習慣や生活環境が大きく影響することから、若年から高齢までの幅広い年齢層の区民がそれぞれのライフスタイルに応じて手軽に健康づくりに取り組め、長期に続けられるような支援方法の構築や、受動喫煙防止対策を進めるなどの環境づくりが求められます。
また、多くの人が心の不調や自殺予防についての正しい知識を持ち、必要な時に早期に相談や治療につなげることが必要です。

(ウ) ライフステージに応じた食育の推進

社会環境の変化やライフスタイルの多様化に伴い、今後も食を取り巻く環境は変化を続けることが予想されます。そのような変化の中でも、食べることは健康で幸福な生活を送るための基本的な営みです。
そのため、区民一人一人が食べることを大切に捉え、正しい知識や食を選ぶ力を身に付け実践するための支援が必要です。
さらに、望ましい食生活を次世代に伝えていくため、家庭や地域、学校・保育所等との連携を強化し、子どもから高齢者に至るまで生涯を通じた食育の推進が求められます。

1の1の2 健康危機管理対策の推進

(ア) 感染症対策

今後も、感染性胃腸炎や季節性インフルエンザ等一般的な感染症だけでなく、新型インフルエンザや結核等新興・再興感染症やデング熱等亜熱帯の感染症が流行する懸念があります。
また、観光やビジネスの拠点である本区では、国内外からさらに多くの旅行者が訪れることが予想され、感染症対策の重要性はさらに増していくと考えられます。
そのため、予防方法の普及・啓発や、平常時からの情報共有、患者発生時の調査、検査および保健指導などの確実な対応が必要です。さらに、国や東京都、関係機関と連携しながら旅行者が多い本区の特性を踏まえた体制の充実・整備を推進することが求められます

(イ) 生活衛生の向上

本区には数多くの飲食店などの食品関連事業所や理・美容所、興行場などの環境関連施設、また、診療所や薬局等医療提供施設があります。
そのため、それぞれの施設の特性を踏まえた衛生管理を行うことは、区民や多くの来街者が安全・安心かつ快適に施設を利用する上で欠かせません。
そこで、それぞれの事業者が適切に衛生管理を行えるよう、区民の食生活の安全を守り、また健康被害を未然に防止するために、区と各事業者団体などとの連携を強化し、衛生的で快適な生活環境を確保していく必要があります。

(ウ) 安全・安心な医療の確保

生涯を通じて、病気と共存しながら自分らしい生活の維持・向上を図るための医療の必要性は高まっていくものと予想されます。
そのため、区民が住み慣れた地域で多様化する医療ニーズに応じて適切な医療を選択できるよう、区民に対して正確な医療情報を提供する必要があります。
また、診療所、薬局などと連携を図り、区民が安全に安心して医療を受けることができる体制づくりが重要です。

1の2 誰もがいきいきと笑顔で暮らせるまち

1の2の1 子どもが健やかに育つ地域づくり

(ア) 子どもの健やかな育ちの支援

子どもは、乳児期における愛着形成を基礎とした情緒の安定や他者への信頼感の醸成、幼児期における子ども同士の関わりや遊びから得られる豊かな感性、探究心、思考力など基本的な生きる力の獲得、学齢期における心身の健全な発達を通じて成長していきます。
乳幼児期は、人間形成の基礎を培う極めて重要な時期であることから、すべての教育・保育施設において教員・保育士等の資質向上、交流・連携を推進していくことが求められています。特に、幼児期においては、多様化する保護者のニーズを受け止めながら、教育・保育の一体的提供を進め、就学前教育の充実と義務教育に至る学びの連続性を確保していくことが必要です。
また、子どもの発達の面から見ると、「育ちに支援を必要とする子ども」については、福祉・保健・医療・教育等の関係機関が相互に連携し、早期発見・早期支援につなげるとともに、ライフステージに応じた切れ目のない支援と見守りを行うことが必要です。
子どもが心身ともに大きく成長する学齢期には、子どもの社会性を育むために、地域の人々や異年齢の子どもたちと交流する機会や場を提供していくことが求められています。そのため、子どもが安心して自由に遊べる場を確保していくとともに、友達やさまざまな人と触れ合いながら成長できるような環境の充実に取り組んでいくことが必要です。

(イ) 子育て支援

今後も共働きをしながら子育てをしていく家庭は増加し、乳幼児人口の増加や保育ニーズ率の上昇も続くことが想定されます。
そのため、引き続き、保育所等保育施設の整備や安心して働き続けられるよう子育て支援サービスの充実が求められます。
そこで、保育を必要とするすべての子どもが保育施設を利用できるような環境を整備していくとともに、在宅で保育をされている方も含め、すべての子育てをする家庭に向けて、きめ細かな子育て支援サービスを充実させていくことが重要です。
さらに、子育てに関する多様な相談に応えられるよう、相談員の専門性を高めるなど相談体制の充実を図っていくことが必要です。

(ウ) 地域の中での子育て力の強化

マンション等に居住する核家族が標準的な世帯構成となり、育児の孤立化により不安感を抱く子育て家庭が今後さらに増加することが想定されます。
そのため、保護者が地域の中で保護者同士や地域の人々とつながりを持つことが求められます。
そこで、子育て家庭が子育てに関して困り事があったときには、いつでも身近な地域で相談ができるよう、地域ぐるみで支援できる環境づくりが必要です。

1の2の2 障害者が地域で自立し、充実した生活を送ることができる環境づくり

(ア) 個のニーズに基づくサービスの提供

今後とも障害者の増加が見込まれ、障害の種別や個々の状況により、それぞれが必要とする支援内容が多様化していくことが想定されます。
そのため、障害者がそれぞれの個性や能力をいかしながら、一人一人のニーズとライフスタイルに応じたサービスが受けられる体制をつくっていくことが不可欠です。
そこで、障害者福祉関係機関が相互に連携しながらネットワークを築き、地域の相談支援機能を強化し、障害者一人一人のニーズに基づいたサービスを提供していくことが必要です。

(イ) 地域生活を支える環境づくり

「育ちに支援を必要とする子ども」が増加する一方、保護者や介護者の高齢化も進み、「親亡き後」の支援を必要とする障害者も増えることが想定されます。
そのため、障害者が住み慣れた地域で充実した生活を送ることができるよう、関係機関の連携によるライフステージに応じた切れ目のない一貫した支援を行い、障害者の社会的自立と社会参加を一層促進することが求められます。
そこで、居住の場の拡充や日中活動支援の強化、施設から地域への移行支援、働く機会と場の拡大、さらに就労継続や職場定着など、障害者が安心して暮らせる環境づくりを進めることが必要です。

1の2の3 高齢者が住み慣れたまちでいきいきと暮らし続ける環境づくり

(ア) 社会参加と生きがいづくり

「人生90年時代」を迎えつつある中、元気な高齢者が増える一方で、生きがいや役割などを持てず、社会との関わりが希薄となる高齢者も増加することが想定されます。
そのため、ボランティアや地域活動への参加を促進するほか、一度退職した後に起業したり、NPOを立ち上げるなど、より積極的に社会の第一線でいきいきと活躍できる地域づくりが求められます。
そこで、高齢者がこれまで培ってきた能力や経験をいかせるよう、さまざまな社会参加の場や機会を提供するとともに、高齢者の主体的な活動を促す環境づくりを進めていくことが必要です。

(イ) 健康づくり(介護予防)の推進

平成37(2025)年には、団塊の世代が後期高齢者となり、介護や医療の需要が増加すると見込まれます。
そのため、一人一人が健康状態に応じて、早いうちから継続して健康づくり(介護予防)に取り組めるよう、支援していくことが求められます。
そこで、区内の運動できる施設や地域の活動団体だけでなく、民間による健康づくりサービスを含め、自らの意思で選択して活用できる体制づくりを進めるとともに、身近な場所で運動できる機会を増やすため、区民が主体的に行う健康づくりの輪を広げていくことが重要です。

(ウ) 住み慣れた地域で生活を継続できるサービスの提供

高齢者人口の増加に伴い、一人暮らしの高齢者や認知症の高齢者が増えていく中で、その生活を支えていくために必要な介護・医療・住まい・生活支援などの社会資源や支え手となる専門職は不足することが想定されます。
そのため、要介護状態になっても残された能力を最大限活用し、介護保険サービスや医療等の適切な支援を受けながら、住み慣れた地域で自分らしく生活できる地域包括ケアシステムが定着し、機能していることが求められます。
そこで、介護と医療の連携や地域の社会資源の発掘・活用を推進するほか、高齢者自らが支え手として活動できる環境づくりを行うことで、多様な担い手による生活支援や高齢者が安心して生活できる住まいなど、本区の特性や高齢者のニーズに応じたきめ細かいサービスが提供できる体制をつくっていくことが重要です。

(エ) 互いに支え合う仕組みづくり

核家族化の進展やマンション居住の増加に伴い、高齢者世帯における一人暮らし世帯の割合は、今後も高くなることが想定されます。
そのため、高齢者が、地域で孤立することなく、支え合いや日常的な見守り活動が行われ、住み慣れた地域で活動の場や必要な支援・サービスを得ながら安心して暮らすことができるほか、災害時においても適切な対応が行われることが求められます。
そこで、行政や地域住民による見守り活動に加えて、民間事業者などさまざまな主体が重層的に関わることで、一人暮らし高齢者などの孤立防止と高齢者が支え合う地域づくりを推進するほか、災害時における安否確認や避難誘導等の支援体制を強化していくことが必要です。

1の3 互いに尊重しあって心豊かに暮らせるまち

1の3の1 多様性を認め合う社会の構築

(ア) 共生社会の推進

年齢、性別、国籍、障害の有無、多様な価値観など、地域社会はますます多様化・複雑化していくことが想定されます。
そのため、さまざまな違いを超えて、相互に理解し合い、支え合う地域社会の実現に向けて、区民や民間事業者等に対し、共生意識の一層の普及・啓発を図ることが求められています。
また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が契機となって、ユニバーサルデザインのまちづくりへの機運が高まるものと予想されます。
そのため、区は、区有施設については、率先してより高水準での整備を計画的に進めるとともに、民間建築物については、民間の主体的な取組が可能となるような環境づくりを積極的に進めていく必要があります。
さらに、福祉教育やボランティア体験、各種イベント等のさまざまな場面を通じて、子育て世代や高齢者、障害者等への理解を深め、地域全体に思いやりのある福祉の心を醸成していく「心のバリアフリー」への取組も重要です。
また、「障害者差別解消法」の理念も踏まえ、区は、地域において障害者差別解消に率先して取り組む主体として、障害者が不自由なく行政サービスを利用し、区政に参画できるよう、行き届いた合理的配慮が提供できる体制づくりを継続的に進めていく必要があります。
加えて、本区では、人口増に伴い動物を飼養する区民が今後も増えていくと想定されます。そのため、飼い主をはじめ広く区民に動物の愛護と適正な飼養について普及・啓発を行い、すべての人に関心と理解を深めていくことが重要です。

(イ) 性別を問わずすべての区民が活躍できる共同参画社会の構築

区が活力を維持し続け、成長していくためには、地域社会をはじめとしたあらゆる場面で性別を問わずすべての区民が活躍し、能力を存分に発揮することにより、自己実現を図ることができる社会の構築が不可欠です。
そのため、子どもたちが自らの多様な可能性を伸ばすことができる環境を整えるとともに、男女平等を阻む暴力防止を啓発することが重要です。
また、性別による役割分担の固定化や偏重をなくすための意識啓発をさらに徹底するとともに、仕事と生活を両立できるようにするため、ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組むことが求められています。
さらに、性別を問わずより多くの区民が、区の政策・方針決定過程や地域活動への参画など身近な場で活躍できる機会を一層拡大していくことが大切です。

1の3の2 すべての人の尊厳が守られる社会の推進

(ア) 権利擁護・虐待防止

今後、認知症高齢者の増加に加え、知的障害者や精神障害者の地域移行の進展に伴い、成年後見事業をはじめとする権利擁護に対するニーズは一層高まるものと予想されます。
そのため、権利擁護の制度や仕組みについて気軽に相談でき、不安なく利用できるよう、社会福祉協議会と連携して、相談窓口を拡充するとともに、市民後見人のさらなる養成に取り組むなど体制の充実を図る必要があります。
また、育児や介護の孤立化などによる子どもや高齢者、障害者への虐待は、誰の身近にも起こりうる問題として、その防止に向けた取組の重要性がさらに増してくるものと想定されます。
そのため、区は、民生・児童委員、警察等の関係機関、NPOなどによる地域の社会資源相互のネットワークの強化を図るとともに、その中心となって虐待根絶に取り組む必要があります。

(イ) 生活困窮者の自立支援

生活困窮者の多くは、「失業」をはじめ、「疾病」や「多重債務」など複合的な課題を抱えており、社会経済環境の変化に伴ってその要因はさらに多様化していくと想定されます。
そのため、生活困窮者からの相談にきめ細かに対応し、その状況に応じた適切な支援が提供できるよう、相談支援体制の一層の充実が必要です。
さらに、民生・児童委員をはじめとした地域のネットワーク機能を高めて、生活困窮者を早期に相談窓口につなげ、地域の社会資源との協働により社会的自立に向けた幅広い支援を展開していくことが重要です。

2 快適で安全な生活を送るための都市環境が整備されたまちを目指して

2の1 災害・犯罪に強くいつまでも住み続けられるまち

2の1の1 地域ぐるみの防災力・防犯力の向上

(ア) 地域防災体制の充実・強化

首都直下地震をはじめ風水害や大規模事故等の災害発生時に、区民が互いに協力し合い迅速かつ円滑に対応するためには、日頃から区民一人一人が防災・危機管理意識を持つことが重要です。また、家庭における日々の備えや避難所となる防災拠点におけるより実践的な運営力の強化など、「自助」「共助」の取組を積極的に支援していく必要があります。さらに、防災関係機関・医療機関・事業者との連携を強化するとともに、情報収集・伝達手段の多様化など総合的な防災力の向上が必要です。

(イ) 地域特性に応じた防災対策の推進

高層住宅での災害対応力を強化するため、まちづくり基本条例等に基づき開発事業における防災対策を促進するとともに、個々のマンションの防災対策やマンション居住者と地域住民との協力・連携が図れる体制の確立に向けて、地域コミュニティの形成を支援していく必要があります。
また、災害時には、在勤者や外国人を含む観光客、公共交通からの避難者など多数の帰宅困難者の発生が予測されることから、このような事態に適切に対応できるよう、東京都、民間事業者等との連携・協力体制を強化していく必要があります。

(ウ) 犯罪のない安全・安心なまちづくりの推進

犯罪抑止のためには、「犯罪者に犯罪の機会を与えない」「犯罪者が寄り付かないまちづくり」が大切であり、区民が安心して生活できるよう、地域力をいかし、犯罪に強いまちづくりを進めることが重要です。
また、大規模テロなどの新たな脅威に対しては、継続的にリスク情報の収集と発信を行い、行政・事業者・地域が連携して危険性の軽減に努めるとともに、緊急時には警察、消防等の活動状況を踏まえ、迅速かつ的確な初動措置を確保するなど、危機管理体制を強化する必要があります。

(エ) 消費生活の安定・向上を目指した情報発信の推進

電子商取引の普及や一人暮らし高齢者の増加等に伴い、インターネットを悪用した不当請求の増加、詐欺商法の手口の巧妙化、悪質化等が懸念されています。
このような状況のもと、消費者トラブルを未然に防ぐためには、消費生活を巡る正しい知識の普及・啓発を推進することが重要です。また、複雑化、多様化する消費者問題に適切に対応するため、関係団体と連携を取りながら、消費者トラブル等に関する情報の収集・発信に努めるとともに、相談体制の充実を図る必要があります。

2の1の2 安心して住み続けられる住宅・住環境づくり

(ア) 建築物の耐震化の推進

大地震に対して建物の倒壊が起こらないよう、建築物などの耐震化を積極的に推進していくことや、災害時における救援・支援、物資輸送活動等の緊急輸送を円滑に行うための広域幹線道路のネットワーク形成が求められています。特に、特定緊急輸送道路沿道建築物については、すべての建物の耐震化を完了することはもとより、外壁の落下や窓ガラスの飛散防止等にも配慮することが重要です。
さらに、超高層マンションをはじめとする高層建築物については、建物の耐震化を進めるとともに、エレベーターや建築設備の耐震化、長周期地震動対策等を検討していくことが必要です。

(イ) 高齢者等に対応した住宅・住環境の整備

区民の多様なニーズやライフスタイルに合った住宅や良好な住環境を確保することは、区民生活を支える上で重要な課題です。そのためには、現在ある区民住宅を良質なストックとして活用することが有効であることから、住宅の長寿命化を図るとともに、老朽化の進んだ住宅については、建て替え更新を図るなど適切な維持管理が必要です。特に、今後も高齢者人口の増加が見込まれることから、高齢者が求める安全で暮らしやすい住宅を確保するため、民間事業者による高齢者向け優良賃貸住宅やサービス付き高齢者向け住宅などの供給を積極的に支援する必要があります。

(ウ) マンション支援

分譲マンションでは、建築後の年数の経過に伴い居住者も高齢化する傾向であることから、管理組合の運営や建物の維持管理を適切に行うための総合的なマンション支援が必要です。特に、超高層マンションは、建て替えが容易でないため、長寿命化を目的とした新たな取組を進めることが重要です。また、既存マンションの老朽化により増加することが懸念される空き室について有効な活用方策を検討することが必要です。併せて、マンションの居住者間の交流不足が建物の適切な維持管理や管理組合の円滑な運営の妨げとなっていることから、マンション内および近隣住民との良好なコミュニティの形成を支援する必要があります。

2の2 水とみどりあふれる豊かな環境を未来へつなぐまち

2の2の1 水とみどりにつつまれたやすらぎのある空間づくり

(ア) 水とみどりのネットワークの形成

まちの骨格となる街路の緑や公園、河川や運河等の水辺を整備し、つなぐことにより、水や緑の連続した空間などからなる環境軸を区内全域に張り巡らせるとともに、それらを基盤とした都心にふさわしい風格あるまちの形成やヒートアイランド現象の緩和を図ることが重要です。
さらに、区内全域に新緑・紅葉が美しい樹木を整備し、良好な景観形成を図るとともに、花や実のなる木を植栽することにより、昆虫や野鳥などの生き物が生息する自然環境を創出し、潤いと安らぎを感じられる水と緑のネットワーク環境を形成していくことが必要です。

(イ) 公園等の整備・充実

子どもから高齢者まで幅広い年代による公園等の利用者が増加しています。そのため、小規模な公園等が多い本区では、複数の公園等で機能を分担・特化させることで、多様なニーズへの対応を実現し、効果的に公園等の魅力向上を図ることが重要です。
また、まとまった土地の確保が困難である本区においては、新たな公園等の整備拡充は難しい状況であることから、大規模開発や公共用地の活用などさまざまな機会を捉え、さらに整備していく必要があります。

(ウ) 安全・快適な水辺環境の整備・充実

河川や運河に囲まれた本区においては、魅力的な水辺空間の創出が期待されています。
この水辺空間を区民の憩いの場として活用するために、水質改善に向けた取組や都心にいながら自然や潤いを感じられるような親水性のある水辺環境を東京都、開発事業者などと連携して整備することにより、人々が集い、にぎわいが生まれる水辺空間の創出をさらに促進する必要があります。

(エ) 緑化の促進

緑が少ない本区においては、公共施設の屋上や壁面などの緑化整備をさらに推進するとともに、民間施設の緑化への取組も支援していくことが必要です。
また、道路や公園内の花壇の維持管理や清掃など、区民や事業者等によるボランティア活動を推進していく必要があります。さらに、地域住民による公園の自主管理や地域との協働により街路や民有地などの緑化に取り組む「まちなか緑化」を促進し、区民・事業者・地域と区とのパートナーシップの構築により「緑の輪づくり」を拡充していくことが重要です。

2の2の2 地球にやさしく美しいまちづくり

(ア) 地球にやさしいまちづくりの推進

緊急の課題である地球温暖化を防止するため、環境に配慮した低炭素社会の実現を目指し、再生可能エネルギーや未利用エネルギー、さらには水素エネルギーを積極的に活用していく必要があります。
また、二酸化炭素吸収源である森林の保全活動支援を推進するとともに、森林を守ることについて、区民および事業者への普及・啓発を図ることが重要です。

(イ) 快適で美しいまちづくりの推進

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、多くの来街者が本区を訪れることが見込まれています。そのような中、世界に誇る美しいまちを実現するため、地域の人々の環境美化意識の高揚を図り、美しいまちづくりに向けた取組を促進するとともに、来街者に対しても、まちの美化に協力を求めていくことが重要です。

2の2の3 循環型社会づくりの推進

(ア) 環境に対する意識啓発と発生抑制の促進

さらなる都市機能の集積や人口増加が見込まれている本区においては、積極的な環境負荷低減に向けて取り組む責務があることから、「地球への思いやりを未来に紡ぐまち」を目指し、環境に対する意識啓発と発生抑制(リデュース)・再使用(リユース)・再生利用(リサイクル)を促進するため、3R運動の拡充と資源分別の徹底を図り、区民一人一人が発信者となって、世界の範となる環境負荷低減意識の高いまちを実現することが重要です。

(イ) 清掃・リサイクル事業の推進

「人の環で築く清潔で快適なまち」を目指し、区と区民・事業所が一体となって廃棄物の適正な排出や地域特性に配慮した収集を行うとともに、生活に密着した清掃事業を進めていくことが重要です。
また、ごみの減量・資源化を図るため、リサイクル活動団体による資源の集団回収の推進やリサイクルハウスかざぐるまの利用促進を図るとともに、資源回収品目や回収手段を拡大するなど、多様な手法により資源循環を推進していく必要があります。

2の3 魅力ある都市機能と地域の文化を世界に発信するまち

2の3の1 都心にふさわしい基盤整備

(ア) まちなみに調和した風格のあるみちづくり

まちづくりの基盤となる道路については、単なる交通空間としての整備ではなく、歴史や文化、環境など、その地域の強みや特徴をいかした整備が求められています。そのため、安全性の確保はもちろんのこと、景観やバリアフリー、アメニティ(快適性)に配慮した道路整備や、遮熱性舗装・低騒音舗装などの環境にやさしい舗装技術を用いた道路整備を行っていく必要があります。また、地域のまちづくりと連携しながら、沿道と一体となった道路整備を行うことにより、まち全体の魅力を高めていくことも重要です。さらに、老朽化が進む橋りょうについては、歴史的景観や価値を遺しながら長寿命化を図っていくことが必要です。

(イ) 快適な歩行環境の拡充

良好な都市景観の向上や都市防災機能の強化に向け、無電柱化を推進するとともに、歩道の新設・拡幅を進めるほか、まちづくりの機会を捉え、地域特性を踏まえた快適な歩行空間を確保していく必要があります。また、歩道の段差や勾配の改善などバリアフリー化をより一層推進し、街路樹や休息スペースなどを整備することで、障害者や高齢者などすべての人が安全・快適に移動できる歩行環境の拡充を図っていくことが重要です。

(ウ) 交通環境の改善

自動車交通については、渋滞の解消を図るため、観光バスの乗降所や駐車スペースを確保することが重要です。
利用が増加している自転車については、安全で快適な利用を促進するため、走行空間の確保を図るとともに、自転車利用のルールの周知、マナーの向上を図ることが重要です。
また、自動車から自転車への転換、放置自転車の解消、区内回遊性の向上を図るため、コミュニティサイクルのさらなる拡充が必要です。

(エ) 公共交通の整備促進

月島・晴海地区は、人口増加に起因して交通需要が急増しています。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会後においても、さらに交通需要が増加すると見込まれることから、交通ネットワークの向上および鉄道不便地域の解消のため、都心部と月島・晴海地区を結ぶBRTの導入や都心部から臨海部への地下鉄新線の整備が必要です。
また、本区は運河や河川に囲まれ都内随一の水辺空間を有していることから、これらの水辺を活用することが求められています。そこで、水上交通ネットワークの構築を行うとともに、陸上交通などとの連携により回遊性を高めていく必要があります。

2の3の2 地域文化をいかし未来を実現するまちづくり

(ア) 地域の個性をいかした良好なまちづくり

本区の地域の個性は、育まれてきた固有の文化に先進技術を取り入れながら発展させてきた土壌の上に、ファッション・食・金融・製薬等の産業機能、まちを彩り歴史を語る重要文化財等の建物景観、祭り等を通じたコミュニティ、日本橋川や隅田川等水辺の風景などが折り重なり形成されています。こうした地域の個性を磨き連携させることで中央区全体の魅力の向上につなげていくことが必要です。
こうしたことから、まちづくりに際しては、地域の実情を踏まえて国際的な業務拠点・観光拠点、その拠点を支援する調和のとれた複合市街地、水辺などの自然環境をいかすとともに、川からの景観にも配慮した良質な都心生活地を目指し、個性を丁寧に分析し、単に保存するだけではなく、培ってきた地域の個性と未来を融合させ、新たな価値を創造する取組が重要です。

(イ) 世界に発信する魅力的なまちづくり

江戸時代には、江戸城下の職人町として今でもその名が残る木挽町や鍛冶橋通りなど個性豊かなまちが形成されるとともに、五街道の起点や河岸が整備され、全国から人や物資が集まり、日々の生活を通じて新たな価値を創造し、流行を全国に発信してきました。明治以降には、デパートや洋風ホテルなど海外からの文化を取り入れ文明開化のうねりを創出してきました。
こうした有形・無形の歴史的遺産を活用しながらまちづくりを行うことにより、魅力的な都市機能と景観形成を図り、国際都市東京の中心にふさわしい風格あるまちにしていくことが重要です。
特に、新しい文化や都市機能を取り入れながら、商業のまちとして美しいまちなみを形成する銀座の魅力を一層高めるとともに、名橋「日本橋」周辺では、日本橋川の景観整備を再開発と併せて行い、歴史の継承と新たなにぎわいを生み出すまちを目指します。また、市場の移転を予定している築地においては、立地特性を踏まえて交通結節機能とともに、世界に誇る日本の食文化の発信拠点として整備していくことが重要です。さらに晴海では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会時に採用する交通や環境などをレガシーとして生活の中に浸透させて新しいライフスタイルを世界に発信する魅力的なまちとすることが重要です。

3 輝く個性とにぎわいが躍動を生み出すまちを目指して

3の1 多彩な産業が地域に活力を与え、多様な人が集いにぎわうまち

3の1の1 特色ある商業活力が融合し、かがやきを放つ都心商業の形成

(ア) 都心商業の推進

本区には、飲食・小売業や繊維・衣類などの卸売業、広告・デザイン、ファッション、情報サービス業などの多彩な産業が集積しています。また、経済波及効果の大きい観光産業も、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を機に、今後の地域経済活性化の柱となることが期待できます。これらの産業が互いに刺激を受けつつ、時代や環境の変化に対応しながら発展を続けていくことが重要です。
飲食・小売業については、高い品性や個性ある老舗など都心商業地としての特性をいかしつつ、顧客満足度の高いサービス提供に努めるなど、まちや店舗の魅力に磨きをかけ、本区の生命線である「にぎわい」を創出していく必要があります。
繊維・衣類の卸売業に関しては、日本橋問屋街をはじめとしてインターネットを活用した営業活動や中国等からのインバウンド需要の取り込みなど、流通形態の変化等を踏まえた取組が進められており、このような取組に対し積極的に支援していくとともに、同時にまちとしての新たな魅力を創造していくことが大切です。
そして、築地地区については、新たに整備した「築地魚河岸」と食品・食材道具など全般を取り扱う場外市場が有機的に連携し、「築地ブランド」を守りながら、食のまちとしての活気とにぎわいを継承・発展させていく必要があります。

(イ) 地域商店街の活性化

地域の独自性をいかしてにぎわいを見せている商店街がある一方で、スーパーマーケット・コンビニエンスストアの台頭や経営者の高齢化・後継者不足などにより活力が失われつつある商店街もあります。
地域商店街は、暮らしの中の日常的な買い物の場としての役割に加え、観光面を強化したにぎわいの創出や地域コミュニティの場としての役割なども担っていることから、活性化に向けた取組は大変重要です。
本区に「住む人」「働く人」「訪れる人」など、さまざまな人に商店街を利用していただけるよう、地域の歴史・文化、顧客、立地といった特性をいかした「地域ブランド」を確立し、各個店や商店街全体の魅力創出と向上の取組を推進することが重要です。そして、複数の商店街や地域団体等と連携し、商店街がそれぞれの魅力をつなぎ合わせ広がりを持つことで、商店街の回遊性を高める取組を進める必要があります。
さらに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として増加が見込まれる観光客が、時代の最先端と下町情緒豊かで洗練された文化が調和する都心中央区ならではの「おもてなし」を堪能できるよう、誰もが安心して快適に買い物や飲食が楽しめる環境を整えていく必要があります。

3の1の2 時代の変化に対応し、最先端の都市型産業として進化する環境づくり

(ア) 企業活動の活性化と経営の支援

区内の中小企業事業者にとっては、交通利便性やオフィスの集積といった都心区ならではの優位性がある一方で、地価や賃料の高さなど、条件的に厳しい側面もあります。そのため、本区の商工業を支える中小事業者が活発な事業活動を展開できるよう、きめ細かい経営支援を行っていく必要があります。
特に、本区の地場産業である印刷・製本業については、旺盛な業務活動を支える機能を持つ広告・デザイン、ファッション、情報サービス業などの創造的産業と融合を図りながら、企画力や製品の質の向上に努めるなど、付加価値を高めていくことが求められています。
また、地域産業の活性化には、社会の変化に対応できる経営基盤の安定した中小企業の育成に加え、起業・創業を促進するなど、常に新しいアイデアや活力を求めていく必要があります。

(イ) 雇用・就労・勤労者福祉の充実

区内中小企業の人材確保と区民の安定した就労の実現に向けては、ハローワークや東京都等の関係機関と密接に連携し、雇用情勢に応じてさまざまな機会を提供していく必要があります。
また、勤労者の生活の安定と福利厚生の向上を図るため、公益財団法人中央区勤労者サービス公社「レッツ中央」の事業を充実するとともに、働く人自らの仲間づくりや趣味、能力開発などへの積極的な取組を促すため、生涯学習分野とも連携し、勤労者向け講座の充実などを進めていくことも重要です。

3の1の3 まちのいとなみを楽しむ「都市観光」の推進

(ア) 都市観光によるにぎわいの創出

風格・洗練・活気・情緒など、さまざまなまちの個性が凝縮した「都市観光」を一層推進し、新たなにぎわいを創出するためには、ショッピングや食文化に加え、本区の強みである歴史と文化に根ざした魅力あふれる観光資源や隅田川を中心とした潤いのある水辺を有する立地環境を最大限に活用していくことが重要です。
そのためには、江戸時代から近代にかけて今の日本を築いてきた歴史的所産を保護・育成するとともに、それらを快適に巡り楽しむために、船や自動車、自転車などの乗り物と、人の動きが融合した移動しやすいまちをつくっていくなど、来街者も住んでいる人も本区の魅力を存分に享受できる環境づくりを進めていくことが大切です。
また、観光客がゆったりとくつろげるように、中央通りの歩行者天国の日本橋方面への延伸や外国の方も訪れたくなる特色のある集客の核づくりなど、大規模な再開発等さまざまな機会を捉えて、さらなるにぎわいづくりに取り組んでいくことも必要です。

(イ) 来街者受入環境の充実

今後、外国人観光客のさらなる増加が見込まれることから、インバウンドなどの地域経済の活性化とともに、相互理解の不足によるトラブルを防止するためにも、外国人の受入環境を整備していくことがますます重要です。
来街者に効果的に情報を提供するため、中央区観光情報センターは、地域の観光案内施設と連携し、常にまちの変化や来街者のニーズを的確に把握するとともに、情報の更新を行い、提案力の向上に努めなければなりません。
情報の発信にあたっては、国内はもとより海外にいる人もターゲットとすることが重要です。そのためには、地域に埋もれている魅力を、観光客自らが拡散していく仕組みづくりが必要です。
また、特に外国の方が多く訪れる銀座、日本橋、築地を結ぶ中央通りや晴海通りにおいては、無料公衆無線LANや観光案内サインなどの基盤的な受入環境を重点的に整備し、集客と他地域への回遊の促進を図ることも重要です。
そして、区は、一般社団法人中央区観光協会や東京都、大学などとの連携を図りながら外国人向け観光ボランティアを育成する仕組みづくりを行う必要があります。

3の2 豊かな学びにあふれ健やかな体を育むまち

3の2の1 子どもたちの可能性が開花する教育の推進

(ア) 質の高い教育の展開

価値観の多様化や急速な情報化、技術の革新は、社会のあり方に大きな変化をもたらしており、今後も加速度的に生活へ影響していくことが想定されます。
このような激しく変化する時代を乗り越えていくためには、判断の根拠や理由を示しながら自分の考えを表現することや他者と協働しながら新たな創造に挑み、未来を切り拓いていくことが求められています。
これからの学校教育においては、子どもたちに引き続き基礎的・基本的な知識・技能を着実に身に付けさせるとともに、主体的に課題を発見し解決する力を育むことが重要です。さらには、現実社会において他者と協働して課題を解決するために必要となる、相手に説明するための論理的思考力やコミュニケーション能力、英語を中心とした外国語による発信力、ICT活用も含めた情報活用能力の向上を、発達段階に応じて図ることが必要です。
また、グローバル化や共生社会が進む中であらゆる人々と共存していくために、日本や他国の伝統・文化・技術の理解や人間の多様性の尊重など、他者に共感できる感性や思いやりのある豊かな人間性を育成していく必要があります。

(イ) 魅力のある学校づくり

児童・生徒を取り巻く社会環境が急激に変化する中、子どもや保護者、地域からの学校に対する期待はますます高まるものと想定されます。
学校がこうした期待に応え、信頼される場であり続けるためには、複雑・多様化する諸課題に対し、教員の資質・能力の向上を図り、組織力をいかして、迅速かつ的確に解決できるよう「学校力」を強化していく必要があります。
また、今後の児童・生徒数増の動向を踏まえつつ、子どもの個性をいかす教育ニーズにも応えていけるよう、良質な教育環境の整備を図っていく必要があります。さらに、学校は子どもたちが放課後等も安心して過ごせる居場所であるとともに、地域やあらゆる世代のコミュニティの核となることが求められます。

3の2の2 希望に満ち、次代を担う子どもの育成

(ア) 家庭の教育力の向上

子どもを取り巻く環境は大きく変化していますが、今後も子どもの健全な発達にとって家庭が大きな役割を担うことは変わりません。女性の社会進出が期待され共働き家庭が増加していく中、引き続き子育て家庭の孤立化を防止することは重要な課題です。
家庭の教育力を向上させるためには、行政や地域が一体となって子育ての経験を伝えていくなど保護者が子どもを育てていく力である「親力」を高めるとともに、育児不安や負担を軽減させることが必要です。そのため、さまざまな機会を捉えて家庭教育の学習機会を充実させるとともに、家庭・地域・学校・関係機関が連携し、地域全体で家庭教育を支援していく体制を整備していくことが重要です。

(イ) 健全育成活動の推進

子どもたちは、他者や地域との交流を通じて他人への思いやりや社会的なルールを学んでいきます。そのため、青少年がさまざまな人々と交流し、豊かな経験を得られるよう、体験活動の場の充実を図り、地域が自主的に取り組む活動を支援していく必要があります。
また、青少年が自主性や社会性を身に付けるためには、大人との交流だけではなく、青少年間の交流を通じて自らが社会の一員である自覚を高めることも大切です。そのためには、同世代の中でリーダーとなれる人材を育成していく必要があります。
一方、青少年を取り巻く社会環境には課題も多く、有害情報があふれるインターネット環境や大人の目が行き届きにくい深夜営業店舗の増大、不健全図書の陳列や販売などの問題があります。青少年への啓発活動や事業者への指導、取り締まりに努めることも重要です。

3の2の3 生涯にわたり学ぶ喜びを分かち合える学習活動の推進

(ア) 生涯を通じた学習活動の推進

生涯学習活動を一層推進するためには、いつでも、どこでも、誰でも学ぶことができる区民ニーズに合った生涯学習の事業を、区内の生涯学習機関や民間企業との連携を図りながら展開していく必要があります。また、その学習成果をさらに深める機会やボランティアなどの地域活動にいかす場を提供するなど、積極的な社会参加を目指す区民の意欲に応えていくことが大切です。
さらに、学習活動を充実するためには、仲間づくりと生涯学習活動の場となる社会教育関係団体の育成が重要です。そのためには、多種多様な学習機会を提供するとともに、成果発表の場を拡充するなど学習意欲を保てる環境を整備していくことも大切です。

(イ) 図書館サービスの推進

図書館は、区民のニーズに応じた情報を発信する拠点であり、主体的な学習を支援する生涯学習拠点でもあります。そのため、読書相談機能や地域資料の充実を図るなど、幅広い世代の知的好奇心を満たし、多様な学びが広がる場となるよう、取り組んでいくことが重要です。
特に、次代を担う子どもたちが、「本を読むこと」を通して、「知」を広めるとともに、豊かな感性や思いやりの心を育み健やかに成長できるよう、読書環境の整備に取り組んでいく必要があります。

3の2の4 スポーツの楽しさが広がる環境づくり

(ア) ライフステージに応じた生涯スポーツの推進

子どもから高齢者まで、また、障害のある人もない人も、誰もが健康でいきいきとした生活を送るためには、日常的にスポーツ・レクリエーション活動を楽しむことができる機会を充実する必要があります。また、スポーツを始めるきっかけづくりとして、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機としたスポーツに対する気運醸成や、スポーツを観る・触れる機会の充実を図ることも重要です。

(イ) 身近にスポーツ活動ができる場の提供

誰もが気軽に楽しくスポーツに取り組めるよう、スポーツ施設の設備の充実や利便性の向上、公園や広場等の公共空間の有効活用など、区民が身近にスポーツ活動ができる場の整備・充実を図る必要があります。また、障害者スポーツへのニーズを踏まえたスポーツ環境の充実が求められています。

(ウ) 地域スポーツの推進

今後も人口増加が予測される本区にあっては、スポーツ団体や地域スポーツクラブのほか、学校施設等を拠点としたスポーツ活動など、スポーツを通じた世代間交流や地域交流の場となる地域スポーツの推進が重要です。
そのためには、地域におけるスポーツ活動の担い手である各種スポーツ団体の活動を支援するほか、多様化する区民ニーズに応えるため、指導者の確保・育成に努めるとともに、民間事業者等との連携・協力を図っていくことが必要です。

3の3 人々のつながりが広がる文化の香りと平和に包まれたまち

3の3の1 さまざまな絆が生み出す「地域力」の向上

(ア) 都心コミュニティの活性化

町会や自治会は地縁に基づく自主的なコミュニティ組織として、地域の防犯・防災、子どもたちの健全育成、高齢者の見守りなどを通じて、安全で安心できる住みよいまちづくりに長い間取り組んできました。
新しく住民となった方にも、これら自治活動の意義を十分に理解してもらう必要があります。そのためには、歴史ある地域行事への参加や学校行事などの機会を捉え、住民同士の交流を深めることによって良好なコミュニティを醸成していくことが求められます。
また、担い手の発掘・養成も重要です。地域活動に対する意欲のある方が参加しやすい仕組みをつくるとともに、企業や在勤者、ボランティアなどさまざまな団体と連携して、地域福祉の構築や防犯・防災活動を行うなど、本区の特性を踏まえた良好な都心コミュニティの形成を図っていく必要があります。

(イ) 協働による地域課題の解決

国際化の進展など社会経済情勢の変化や区民一人一人の多様なニーズや価値観により、新たに生じてくるさまざまな地域課題を解決するため、NPOやボランティア団体、企業などの社会貢献活動はその重要性を増しています。
こうした団体は、子育て支援など目的を限って活動していることが多いことから、その活動を地域の需要に結び付けることが重要になります。そのため、社会貢献活動を広げ、協働の普及促進を図るための中間支援拠点において、さらに情報の収集と共有化を進め、さまざまな主体とのコーディネートを行うなど社会貢献団体と地域との連携を支援することによって「地域力」を向上させていくことが大切です。

3の3の2 豊かな心を育む文化活動の振興

(ア) 区民の文化活動の振興

区民が文化・芸術活動に親しみ、参加しやすい環境を整備するためには、江戸・近代と蓄積された区内の多彩な文化資源を積極的にPRし、その文化に接する機会を増やしていくことが重要です。
本区の歴史・文化は、企業、商店などによっても継承されていることから、それらが主体となったさまざまな活動やイベントを支援するなど行政と地域、企業等が連携して、自らが住み・働くまちの歴史と文化に対する誇りや愛着心を醸成していくことが大切です。

(イ) 歴史的・文化的遺産の保存・活用

本区は歴史や文化を象徴する名所・旧跡などさまざまな文化遺産に恵まれています。この有形・無形の文化遺産について、その価値が損なわれないよう区民文化財として指定・登録、公開することにより次代に継承していく必要があります。また、文化財の保護の重要性にかかる意識の高揚を図るため、区の観光資源として活用するなど、区の歴史や伝統、育まれてきた文化に対する区民の理解を深めていくことが重要です。

3の3の3 国や地域を越えた交流が深まり多様な価値観が共生するまちづくり

(ア) 区民の国際交流・地域間交流の推進

姉妹都市や友好都市など国内外の諸都市と結ぶ交流は、防災協定などによる相互援助や相互理解を深める機会となるとともに、特に子どもたちにとってはさまざまな文化や生活に接する良い機会となることから、積極的に行うことが大切です。
今後、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を機に、観光客をはじめとして、本区はさまざまな人々と文化に接していくことになります。区を訪れる国内外のすべての人々にとって暮らしやすく、活動しやすい環境づくりを推進し、さらなるまちの活性化を図っていくことが重要です。

(イ) 平和意識の普及・啓発

恒久平和は世界のすべての人々の願いであり、本区では昭和63(1988)年3月15日に中央区平和都市宣言を行いました。戦後70年以上を経過した今日、戦争の悲惨さ、戦災体験を次世代へと語り継いでいくことが困難となっています。そのため、平和への思いを一層深める機会を継続的に提供していくとともに、本区のあらゆる施策を通じて中央区平和都市宣言の趣旨を普及・啓発していく必要があります。

中央区基本構想審議会における審議経過

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