資料室
体験記-空襲体験-
目次へ戻る
空襲体験
防空壕に焼夷弾の直撃

伊神 由吉(いがみ よしきち)

 ところが、その避難した防空壕を焼夷弾が直撃し壕内に飛び込んできた。幸いに火がつかなかったので、みんなで急いで外へ逃げだし、死傷者などの被害はなかったが、その時の防空壕内にいた人たちの驚きは大変なものであった。
 外へ出てみると、銀座三丁目一帯には、焼夷弾が雨あられのようにいっぱい落ちてきた。防空壕への焼夷弾に仰天させられ、ホッとし始めており、町中が一面火の海になって間もなく、今度は、火の海に動転して、言葉も出ないまま、みんな散り散りになっていった。
 目の前の我が家は、まだ、火がついていなかったが、近所からの火の手が迫り、空いっぱいに雪が降ってくるように火の粉が降っている。もう、火を消せる状態ではなく、無我夢中で、店のリヤカーに商売道具やタイヤなどと、米などの食糧を積み込み(避難の準備をいつもしていたので手筈は速かった)姉と2人で、そのリヤカーを引いて、数寄屋橋を渡り、日比谷公園まで懸命に走り続けた。火の粉に追われ追われの避難であったから、途中がどうなっていたのか、まったく覚えていない。ただ、燃えながら落ちてくる焼夷弾が、花火のように綺麗だったという印象が未だに残っている。日比谷公園ではすでに近隣の人が大勢避難してきており、私たちも、ここで朝まで過ごした。

- 2 -

前のページへ 次のページへ

▲ページの先頭へ

お知らせ プライバシーポリシー 利用案内 リンク集
Copyright (c) Chuo City. All rights reserved.