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区のおしらせ 中央
平成26年7月21日号

区内文化財

引幕図案見本帳

区民有形文化財 歴史資料 銀座一丁目8番17号 佐々木商店


写真 引幕図案見本帳
引幕図案見本帳

前号の文化財は、日本橋の佐々木印店(平成26年3月に旧店舗から日本橋室町四丁目3番3号へ移転)に伝来する幕府の御用達職人に関する古文書を取り上げました。中央区に関わるこうした貴重な資料が存在するのは、本区が消費需要と供給を賄う江戸の中心地であったからに他なりません。いわゆる“商業・経済・文化の中心地”としての土壌や気質といったものは、江戸時代に生成・発達して今日に受け継がれてきたわけです。
銀座一丁目の佐々木商店所蔵「引幕図案見本帳」も、中央区の商業・文化都市としての特性を物語る歴史資料の一つです。当資料には、同商店の卸売販売品とともに、明治30年代に東京市内で製造・販売されていた化粧品や家庭常備薬の商品・商標・店舗・宣伝文が掲載されています。なお、銀座の佐々木商店は、明治初年以来の製造・販売品「つやふきん」(工業製品のつや出しや薬品用のイボタロウ〈イボタロウムシが分泌する白色の蝋〉が染み込んだ布巾)や品ぞろえ豊富なパイプ(喫煙具)のお店としてご存じかもしれません。
ところで、文化財名称に「引幕」と冠されているのは、芝居の舞台正面に垂れ下がった仕切り幕(左右に動く「引幕」、上下に開閉は「緞帳幕」)の布地に施す広告デザインであるためです。和綴じの見本帳を開くと、10種類以上の図柄枠取り(団扇・浜千鳥・菱形・楓葉・松など)の中に描かれた、特徴的な商標(淺田飴・太田胃散・花王石鹸・ライオン歯磨など180種類以上)が目に留まります。奥書には、引幕贈呈主である芝居の贔屓団体名「二可三連」(佐々木商店を元締とする東京市中の売薬化粧品問屋・製造元団体〈名称は「良薬は口に苦し」の「にがみ」に由来〉)とともに、劇場(都座・市村座)や贔屓の俳優(七代目市川団蔵・二代目市川女寅・新派俳優の山口定雄など)の名が確認できます。
また、これ以外にも折り込み形式で作成された引幕の見本(縮図)として、二代目坂東又三郎への贈呈引幕や沢村長之助・宗之助への贈呈引幕などがあります。
なお、奥書にある「梅素」の署名や「世き祢」の朱印から、梅素薫(〈関根竹二郎〉:明治中期の錦絵「東京自慢名物会」の見立模様作者、師は梅素玄魚)のデザインであることがわかっています。

中央区総括文化財調査指導員
増山 一成

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以下 奥付けです。

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