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区のおしらせ 中央
平成24年9月21日号

区内文化財

銅製洋鐘

区民有形文化財 工芸品明石町5番26号カトリック築地教会

音を出す道具である鐘は、金属製の打楽器として洋の東西を問わず用いられています。東洋、特に日本の鐘では寺院の鐘楼に吊り下がる梵鐘であったり、西洋では教会にある鐘(チャーチベル)などが想像されます。
同じ鐘でも、基本的に日本の梵鐘などは外側から撞木で「撞く」のに対して、西洋では内側の舌で「鳴らす」という使用方法の違いがあり、音色や響きも異なってきます。とはいえ、音によって人々に合図や時刻などを知らせるのは世界共通といえるでしょう。
さて、今回の文化財は、明治期に開市した築地外国人居留地(現在の明石町一帯)36番にあったカトリック教会(現在のカトリック築地教会)の銅製洋鐘です。この鐘は、明治初年から現在に至るまで約135年以上もの間、礼拝儀式の鐘(お告げの祈りの時刻を知らせるアンジェラス)として使用されてきました。
鐘の形状は、口縁部がいわゆる西洋のベル型に開いているものです。二本の線で区切られた鐘の上帯には飛び交う天使を描いた文様があり、下帯にはバラなどの細かい花文様が施されています。また、胴部やや下には、聖母被昇天(天使たちに囲まれて天へ上げられる聖母マリア)の場面や弟子たちに囲まれた十字架下のイエス像などの陽鋳もみられます。
特に胴部については、フランス語で記された陽鋳銘文が施されており、その内容から鐘の由来に関するものであることが読み取れます。銘文によれば、この鐘は明治9年(1876)にフランスのブルターニュ地方にある町・レンヌで製作された銅鐘であるようです。
さらに、パリ外国宣教会から派遣された日本副司教・ルマレシャル神父(当築地教会の第二代主任司祭)が「NOM MEE JEANNE LOUISE DE YEDO」、つまり、江戸のジャンヌ・ルイーズと名付けた鐘であることも記されています。 なお、この鐘はフランスで鋳造されてから日本に渡り、明治10年3月11日に横浜の司教座で命名式が行われた後、築地外国人居留地内の教会へと運ばれてきました。
震災による焼失や戦時供出、さらには戦禍をも免れて今日まで受け継がれてきた銅製洋鐘は、明治期のキリスト教発展史と築地外国人居留地の歴史を刻む貴重な鐘です。


銅製洋鐘

中央区主任文化財調査指導員
増山 一成

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以下 奥付けです。

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