日本脳炎について
日本脳炎の定期予防接種に関し、平成17年5月に厚生労働省から市町村に対し、マウス脳由来の日本脳炎ワクチンの使用と重症のADEM(アデム、急性散在性脳脊髄炎)発生との因果関係が否定できないことから、ワクチンの積極的な勧奨を行わないよう勧告がありました。
その後、乾燥細胞培養による新ワクチンの承認を経て、平成22年4月1日付厚生労働省通知により、平成22年度から3歳に対する第1期初回(2回分)接種の積極的勧奨が再開されました。
平成22年8月27日には予防接種実施規則が改正され、第2期に乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンの接種が可能になり、第2期の接種年齢の方に第1期不足分の接種ができるようになりました。
平成23年3月31日付厚生労働省通知により、4歳に対する第1期追加接種の積極的勧奨が再開と9歳10歳の第1期(初回1回目・2回目)、第1期追加接種分の勧奨を行っています。
また、平成23年5月20日に予防接種実施規則が改正され、平成7年6月1日から平成19年4月1日までに生まれた方は第1期(初回1回目・2回目)、第1期追加、第2期の不足分を20歳の誕生日前まで公費で接種できるようになりました。
今回の改正により、積極的勧奨の差し控えで接種の機会を逃がした方の、7歳6ヶ月以降9歳未満、13歳以上の接種が可能になりました。
■日本脳炎とは
日本脳炎ウイルスの感染によっておこる中枢神経(脳や脊髄など)の疾患です。ブタなどの動物の体内でウイルスが増殖した後、そのブタを刺した蚊がヒトを刺すことによって感染します(ブタ→蚊→ヒト)。 ヒトからヒトへの直接感染はありません。
ウイルスの媒介蚊は主にコガタアカイエカ(水田等に発生する蚊の一種)です。
東アジア・南アジアにかけて広く分布する病気です。
■症状
日本脳炎ウイルスに感染しても症状なく経過する場合がほとんど(過去には、100人から1,000人の感染者の中で1人が発症すると報告されています)が、症状が出る場合には、6〜16日の潜伏期の後に、数日間の高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、引き続き急激に、光への過敏症、意識障害、神経系障害(脳の障害)を生じます。脳炎を発症した場合20〜40%が死亡に至る病気といわれています。
■治療・予防
特効薬はなく対症療法が中心です。予防策は予防接種と蚊の対策です。
■発生状況
<日本の状況> 平成4年以降の報告患者は年間10名未満で、主に中高齢者となっています。しかしながら、平成18年に熊本県において、小児(3歳児)での発生が報告され、平成19年には広島県(発病は平成18年で感染推定地域は茨城県)において19歳の発生、平成21年には高知県での1歳児および熊本県での8歳児(発病時は7歳)の発生が報告されています。
地域別にみると、過去11年間(平成11年〜平成21年)に61件の発症がありましたが、大部分は九州・沖縄地方および中国・四国地方で発症しており、北海道(0件)、東北(0件)、関東(3件)、甲信越(2件)地方における発症はまれです。
<海外の状況> 朝鮮半島、台湾、中国大陸、ベトナム、タイ、マレーシア、ミャンマー、インド、ネパール、スリランカなど南アジア、東南アジア一帯にかけて広く分布しています。また、最近ではオーストラリアなどでも患者が発生し、流行地域は拡大傾向です。
■予防方法1 日本脳炎ワクチンについて
〈予防接種法にもとづく現行の定期予防接種スケジュール〉
1期(3回) ・初回接種(2回) :生後6ヶ月以上90ヶ月未満(標準として3歳)
・追加接種(1回) :初回接種後おおむね1年後(標準として4歳)
2期(1回) 9歳以上13歳未満の者(標準として9歳)
<注>平成22年8月27日より、定期の2期予防接種においても、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンの接種が可能になりました。
特例対象者(平成7年6月1日から平成19年4月1日までに生まれた方)
積極的な勧奨の差し控えにより、不足している分を20歳未満まで公費負担で接種できます。
10歳の方には既に1期不足分の予診票を送付しております。
9歳の方には誕生月の翌月に1期不足分の予診票を送付します。
*3期接種は平成17年7月29日に廃止となりました。
※第1期初回(2回分)接種は3歳の誕生月の翌月に、第1期追加接種は4歳の誕生月の翌月に、予診票を郵送します。
9歳誕生月の翌月に第1期初回(2回分)、第1期追加の未接種分について予診票を送付します。
※積極的勧奨の対象者以外の方で、上記の定期予防接種スケジュールの対象年齢の方は、保護者が特に希望する場合は定期予防接種として接種が可能です。この場合、保健所・保健センターで予診票を発行しますので、母子手帳をご持参ください。
※ワクチンの供給状況によってはすぐに接種できない場合がありますことをご了承ください。
〈現在使用されている日本脳炎ワクチンについて〉
現在使用されている乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンは、日本脳炎ウイルスをVero(ヴェーロー)細胞で増殖させて、得られたウイルスを採取し、ホルマリンで不活化(感染性を失くすこと)して製造されたワクチンです。
このワクチンは、平成21年2月23日付けで薬事法上の承認を受け、平成21年6月2日から供給が開始されています。平成21年6月2日以降、定期の第1期予防接種にのみ使用可能とされていましたが、平成22年8月27日以降は第2期の予防接種にも使用可能となりました。
〈副反応について〉
現在使用されている乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンの添付文書によると、本剤の臨床試験において、生後6ヶ月以上90ヶ月未満の小児123例中49例(39.8%)に副反応が見られ、その主なものは発熱18.7%、咳11.4%、鼻汁9.8%、注射部位の紅斑8.9%であり、これらの副反応のほとんどは接種後3日後までにみられたとされています。
平成21年6月2日以降、厚生労働省に届けられた予防接種後副反応報告によると、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン接種後の副反応報告は22件で、内容は39度以上の発熱9名、全身発疹3名等でした(平成22年1月5日現在)。
〈ADEM(アデム:急性散在性脳脊髄炎)の副反応〉
従来使用されていたマウス脳由来ワクチンの接種後には、70万〜200万回の接種に1回程度、ADEM(アデム:急性散在性脳脊髄炎※)が報告されることがあると考えられていました。
現在使用されている乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンの接種後にADEMを発症したとする報告はこれまでに1例報告されています(予防接種後副反応報告は、予防接種との関連性が考えられない偶発的事象等も含まれています)。現時点での接種者数がまだ少ないことから、ADEMの発生頻度については、今後も継続して調査していく予定です。
※ADEM(アデム、急性散在性脳脊髄炎)とは
ウイルス等の感染後あるいはワクチン接種後に、まれに発生する脳神経系の病気です。麻しん(はしか)、水痘(水ぼうそう)、ムンプス(おたふくかぜ)、インフルエンザなどのウイルスやマイコプラズマなどの病原体感染の後に起こることもあると言われています。
ワクチン接種後の場合は、通常接種後数日から2週間程度で発熱、頭痛、けいれん、運動障害などの症状がでます。ステロイド剤などの治療により多くの患者さんは後遺症を残すことなく回復しますが、運動障害や脳波異常などの神経系の後遺症が10%程度あるといわれています。
■予防方法2 蚊に刺されないこと
日本脳炎の感染源は日本脳炎ウィルスを媒介する「蚊」です。戸外へ出るときは、できる限り長袖、長ズボンを身につける、蚊よけ剤の使用、網戸の使用など蚊に刺されないような対策をお勧めします。
関連リンク
国立感染症研究所感染症情報センターホームページ「日本脳炎Q&A(第2版)」
【問合せ先】
中央区保健所健康推進課予防係
電話 03-3541-5930 ファクス 03-3546-9554
