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| 空襲による被災者の状況 |
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お父さんは写真屋さん しんちゃん「僕のお父さんは写真屋さん。鍛冶橋の近くで写真館をやっているんだ。」 お父さん『しんいち、マグネシウムを取ってくれ』 しんちゃんは、ビンからそうっと白い粉を取り出しました。 しんちゃん「戦争がはじまって、東京もたびたび空襲を受けるようになると、お父さんは、お母さんと弟たちを疎開させた。」 写真館の看板の下で、しんちゃんはお父さんに聞きました。 しんちゃん『父さん、ここにも空襲があるかな。そしたら、ここも焼けてしまうのかな』 しんちゃんは考えます―― しんちゃん「僕らの町は、関東大震災のときにめちゃくちゃに焼けてしまった。だから、そのあとコンクリートの建物をたくさん建てたんだ。これならきっと、空襲を受けても大丈夫。僕は自分にそう言い聞かせていた」 昭和20年3月9日。 しんちゃん『あっ』 空襲警報のサイレンを聞いて、しんちゃんとお父さんは目を覚ましました。 しんちゃん『父さん?』 お父さんは窓の外をじっと見ています。 お父さん『……燃えだしたっ』 写真館の前へ、まっすぐつづく道のむこうから、 次の日の朝。 たつや『おうい! しんちゃーん!』 しんちゃん「深川には、友達のてっちゃんが住んでいた。僕たちはてっちゃんの家を目指した。」 深川の近くにくると、あたりは一面、けむりでいっぱいです。 しんちゃん『(げほげほ)煙がひどいや』 橋の上に、炎に焼かれて死んだたくさんの人がたおれています。 しんちゃん『人だ! 人の油なんだ……!』 深川にわたると、町は一面の焼け野原。 しんちゃん『あ……』 しんちゃんは何か光るものを見つけました。 たつや『それ、なんだい』 ビー玉は炎のあつさでドロドロにとけて、きみょうな形にゆがんでいました。 しんちゃん「結局、僕らはてっちゃんを見つけることは、できなかった」 その夜、しんちゃんは写真館の前で空を見上げていました。 お父さん『大丈夫、きっとどこかに避難したんだ』 昭和20年5月25日。 しんちゃん「せっかく残っていた僕の家も、五月の空襲で焼けてしまった」 写真館の中でたいせつにおいてあった、あのマグネシウムに火がつきました。
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