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戦時下の子供たち |
次郎の疎開 昭和19年11月。 次郎「戦争がひどくなって、東京でも空襲があるようになった。」 数か月前。 次郎『ねえ、どうして兄ちゃんは行かないの?』 次郎くんたちは学校にあつまりました。 次郎「ボクは学校のみんなと一緒に、日本橋のうちから埼玉のほうへ、疎開することになった。「疎開」っていうのは、空襲を受けないように大きな町から地方に避難することなんだ。」 いよいよ次郎くんたちが出発します。 お母さん『次郎……』 思わず駆けよろうとするお母さんを、太郎お兄さんがとめました。 太郎『駄目だよ。見送りは校門までと決まってるじゃないか』 次郎くんたちは汽車に乗って、家族の住む東京から、とおくはなれていったのでした。 ぴーひょろろ。 おしょうさん『遠いところを、よく来ましたなあ』 次郎くんたちはぎょっとしました。 次郎『ん? いいにおい……』 近所のおばさんたちがふかしイモを用意していてくれたのです。 おばさんたち『さあ、たーんとお食べ』 おなかをすかせたこどもたちはおおよろこびです。 コンコンコン。 次郎「僕たち疎開児童は、お寺の近くの学校で、地元の子供たちと一緒に勉強させてもらうことになった」 次郎くんはとなりの席の地元の子に、こっそりと聞きました。 次郎『ねえ、どうして帽子をとらないの?』 すると、その子は、にやっと笑っていうのです。 地元の子『みんなにシラミをうつさないためさ!』 その子があたまをボリボリかくと、粉のようにシラミが飛ぶのです。 次郎『ひっ』 夕方。 ガキ大将『おい、疎開!』 それは次郎くんのとなりの席の子だったのです。 ガキ大将『おい、お前』 地元の子たちは、次郎くんをつかまえてジロジロ見るのです。 地元の子『へーえ、なまっちろいやつ』 わいわいがやがや、こどもたちがあつまっています。 次郎『ええーい!』 次郎くんがガキ大将を投げ飛ばしました! 地元の子『いいぞ、疎開ーっ!』 キイィーッ! 先生『こらーっ、何をしとるかーっ!』 けんかをしていると思って怒っているのです。 ガキ大将『先生だ! 逃げろ疎開!』 次郎くんとガキ大将は、笑いながらいっしょに逃げるのでした。 昭和20年3月9日。 次郎『ひええ……』 それでも用はすまさないといけません。 次郎くんがすやすやと眠った、その同じ時間――
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